〔特集〕価値ある作品で人生を豊かに 「アートのある暮らし」 かつては投資の対象として語られることも多かったアート。今や資産性にとどまらず、日々の暮らしを豊かに彩る存在へと広がっています。お気に入りの作品を迎えた住まいから、注目のアーティスト、飾り方まで、美術館だけではない、日常に息づくアートの魅力をお届けします。
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我が家はプライベート美術館
アートのある暮らし拝見
[場所別]インテリアとしてのアートコーディネーション
玄関カラフルで目を惹く大作でお出迎え。大好きなビュフェは、キャビネット上の立体作品とコーディネート。

ベルナール・ビュフェ
Bernard Buffet(1928~1999)
《Arms dans un pichet(水差しのアルム)》81×60センチ
フェリックス R. チド
Ferix R. CID(1976~)
《Untitled( Conde Duque de Canpo)》192×190センチ
寝室ヘッドボードに合わせて、横長の作品を配置。ビュフェの中でも落ち着いた雰囲気の作品を選んだ。

ベルナール・ビュフェ
Bernard Buffet(1928~1999)
《Erquy, le phare(エルキ灯台)》93×140センチ
洗面洗面所にも、本物のアートを飾る。一人になれる場所で日常的にアートに触れることができる贅沢な空間。

舘鼻則孝
Noritaka Tatehana(1985~)
《deity mirror》各28×28センチ
趣味室“好きなものだけ” を徹底的に集めた奥様の個室。一人でのんびりしたり、友人とティータイムを過ごすことも。

ドルク
DOLK(1979~)
《kitty riot》100×70センチ
100点のアートを集めたT夫妻の蒐集哲学
Tさん夫妻が初めてアート作品を購入したのは、今から26年ほど前のこと。
「日比野克彦さんのリトグラフを気に入って購入しました。当時住んでいた家にはあまり壁がなかったため、それほど多くの作品を入手することはせず、1年に2~3点ほど。2023年にこの家に住み始めてから、多くの作品が集まりました」と奥様。
ご夫妻ともに、購入の決め手は、何より “自分が好きかどうか” だといいます。
「アーティストを応援したいという気持ちはもちろんありますし、作品を気に入って購入した作家の人気が高まれば嬉しくも思いますが、“青田買い” というような意識はありませんし、決まった作家の作品を集めるという目的もありません。すでに所有している作品との相性や家具とのコーディネートもまったく考えず、あくまでも作品ごとに、好きになるかどうかだけで購入を判断しています」
音楽室を備えた地下ギャラリー。壁に掛けられた作品は左から、辻 仁成、ジミー大西、日比野克彦。床に置かれた作品の左はBast、右はダニエル・ジョンストン&ロン・イングリッシュ。ウィル・スウィーニーの《タイガーラグ》も敷かれている。

三澤憲司
Kenji Misawa(1945~)
《岩を貫く鎖》194×50×60センチ
1984年、文化庁芸術家在外研修員として、ニューヨークのイサム・ノグチのスタジオで研修した彫刻家。アプローチに設置。

ベルナール・ビュフェ
Bernard Buffet(1928~1999)
《Woolworth Building》146×114センチ
ビュフェのタッチが好きだというTさんがニューヨークのギャラリーで初めて出会った作品。現在は7点を所有。

三浦大地
Daichi Miura(1983~)
《The Birds》116.7×91センチ
ファッションディレクター、イラストレーターなどとして幅広く活動し、国内外で注目を集める若手作家。階段踊り場に。
作品購入先は、ギャラリーやオークション。とくにオークションは、事前に送られてくるカタログで欲しい作品を見つけると、自身で参加。
「国内で行われるオークションにライブで参加すると、やはりアドレナリンが出て興奮しますね。楽しいですよ。海外のオークションは、オンラインで事前に入札額を登録しておきます。時差もあるので、朝目覚めてパソコンを開き、結果を確認します」とTさん。
とくにビュフェのペイントを好むTさんが最初に作品に出会ったのは、ニューヨークのホイットニー美術館の向かいにあったギャラリーでのこと。
「誰の何という絵かということは関係なく、目が釘付けになりました。ビュフェはリトグラフも多く出回っていますが、ペイント作品から放たれるパワーに魅了されています。どんな作品も、エネルギーを感じられるものが好きなのだろうと思います」。
強いエネルギーを持つ作品が並ぶ住空間は、不思議なほど全体が調和しています。これには、設計した建築家の森山善之さんも驚嘆するほど。
「家具も好きで、好みのものを選びますが、好きなものだけを選んでいれば、合わないわけはないと思っています」。
自身をコレクターではなく、いい意味での “消費者” だというご夫妻。頻繁に作品を掛け替え、二人のご子息の家にも「合うと思う作品を有無を言わせず」飾っているそう。“集める” のではなく、存分に “楽しむ”。アートと暮らすことの原点がここにあります。
©YAYOI KUSAMA 画像転載不可
草間彌生
Yayoi Kusama(1929~2026)
《Infinity Nets》116.7×91センチ
1950年代末から取り組み続けている抽象シリーズ。「まさか落札できるとは思わなかった」という幸運な一枚。1999年制作。

日比野克彦
Katsuhiko Hibino(1958~)
《BOW》85×65.7センチ
日比野氏が東京藝術大学の卒業制作として提出した思い出深い作品を、ダンボールの質感などまで忠実に再現した立体版画。

北川麻衣子
Maiko Kitagawa(1983~)
《花誘い》97×130センチ
ダーマトグラフと呼ばれる油性鉛筆を用いて、ファンタジックな世界を描く。黒一色の繊細なグラデーションが見事。

サガキケイタ
Keita Sagaki(1984~)
《岩窟の原子聖母》189×118センチ
細部を無数のキャラクターで埋め尽くし、濃淡で名画のモチーフを描き出す技法は「驚く人が一番多い作品」。

舘鼻則孝
Noritaka Tatehana(1985~)
《Heel-less Shoes》33×9.7×19センチ
舘鼻氏の代表作。ニューヨーク・メトロポリタン美術館やロンドンのヴィクトリア&アルバート博物館にも収蔵。
(次回へ続く。
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