• TOP
  • 教養
  • アート
  • ジャンルを超越した創作活動で、アートの可能性を拓く 書家・紫舟さんの新たなる挑戦

アート

ジャンルを超越した創作活動で、アートの可能性を拓く 書家・紫舟さんの新たなる挑戦

2026.08.13

  • facebook
  • line
  • twitter

書家・紫舟 伝統と次元を超えた“和”の世界 『美の壺』『龍馬伝』などの題字で、広くその名を知られる書家の紫舟(ししゅう)さん。伝統的な「書」を軸に発信する三次元の「書の彫刻」やアートとのコラボレーションなど、固定観念にとらわれない挑戦が国内外で評価されています。日本古来の文化へのリスペクトをベースに多彩に活躍する紫舟さんの、奥深い、唯一無二の世界をご案内します。

アート

《火の鳥》(2017年)

《火の鳥》(2017年)
世界各地で語り継がれる不死鳥・火の鳥。周囲には伝説にちなむ文字が躍る。紫舟さんが「絵が自分のものになった」と思えた作品。羽田空港第2ターミナルウェルカムセンターのロビーに飾られている。

本物同士のコラボレーションで新しいアートを生み出す

書と異なるアートを組み合わせるコラボレーションも紫舟さんの重要な表現方法です。「書は天職。子どもの頃になりたかった職業は絵描き」と話す紫舟さんが、描いた絵に書を乗せる書画もその一つ。代表作『火の鳥』(写真上)では、極彩色の羽を広げる伝説の不死鳥・火の鳥の周囲に「神、扉、山」など伝説に基づく文字をちりばめています。それはまるで火の粉のように絵と一体化し、作品全体の神秘性や生命力を効果的に高めています。

「俵屋宗達の絵と本阿弥光悦の文字が融合した『鶴下絵 三十六歌仙和歌巻』のように、日本には昔からコラボレーションのアートが存在していました。本物同士のエネルギーが共鳴し合い、新たな世界を作り上げる──。それは決して単なる合作ではないのです」

〈イタリア・サルディーニャ島でのライブパフォーマンス〉(2023年)

〈イタリア・サルディーニャ島でのライブパフォーマンス〉(2023年)


観客の目前で作品を完成させるライブパフォーマンスを世界各国で行う紫舟さん。ときには和紙の裏側に回り、段に上り高いところまで手を伸ばす。この日、描き上げたのは、鷲の絵と「御縁」の文字。
書画を観客の目前で完成させるライブパフォーマンスは、欧米やアジア諸国でも大人気です(写真)。その国のシンボルである鳥や動物の絵に「縁、夢、絆」など日本の文字を添えた作品は、両国の良好な関係を願う大きな役割も果たしています。

またチームラボ(デジタル技術を駆使するアーティスト集団)との共作では、象形文字が動植物に形を変えて自由に動き回り、人々の想像力を掻き立てます。3000年以上の歴史を持つ文字に、最新テクノロジーとの高い親和性があることを示しました。

祈り

〈地獄絵梵焼大護摩供〉(2023年)

〈地獄絵梵焼大護摩供〉(2023年)
コロナ禍に制作した全長15メートルの屛風絵『地獄絵図~四連作』を金峯山寺蔵王堂境内でお焚き上げ。「怒り、嫉妬、憎しみなど心の中の地獄が消え去るのを実感しました」(紫舟さん)。

祝う、祈る、治す。アートの可能性は無限大

「人間に備わる想像力には、自身を癒やし人生を導く力がある」と信じる紫舟さん。人の想像力を動かす作品で、アートの新しい可能性を拓こうとしています。

〈予祝御祭〉(2026年)

〈予祝御祭〉(2026年)
橿原神宮にて。紫舟さん主宰のワークショップ参加者が書き記した心の奥の願い事を水溶紙に転写し、ご祈祷を受け、植樹する桜の根元に埋める。


たとえば「予祝(よしゅく)」。「花見は、満開の桜を秋の豊作に見立てて予(あらかじ)め祝う儀式だとの説があります。日本古来の文化に倣い、願いを書いた予祝奉書を桜の苗木と一緒に埋める『予祝御祭』を行いました(写真)。植えた桜が花開くことで、願いも美しく実を結ぶ。成就した未来の記憶を作ります。」

仏教儀式の護摩行になぞらえた、地獄を描いた屛風絵のお焚き上げ(写真上)には、人の心に巣喰う地獄の感情の浄化と、恕(ゆる)しへの祈りが込められています。さらにアートが脳に及ぼす影響にも注目し、科学者や医師とも繫がる紫舟さん。いったいどこに向かうのでしょうか。

〈アトピーが治るアート〉(2018年)

〈アトピーが治るアート〉(2018年)
皮膚を掻くことで得られる快楽を、アートの力で他に置き換えるプロジェクト。下の写真は『掻く絵本』で、「皮膚の代わりに絵本を掻くことで快感を得られ、皮膚損傷を軽減できる」との実験に基づく作品。


「今私が見据えているのは、薬に頼る医療のその先です。人類の未開拓領域である『想像力』を、治癒を促進させる力へと転換する。想像力を導く『アート』が、病院の処方箋に記される時代を実現したいです」。

・この特集の記事一覧はこちら>>

この記事の掲載号

『家庭画報』2026年08月号

家庭画報 2026年08月号

撮影/鍋島徳恭 永田忠彦(作品写真) ヘア&メイク/遠藤芹菜 取材・文/浅原須美

  • facebook
  • line
  • twitter

12星座占い今日のわたし

全体ランキング&仕事、お金、愛情…
今日のあなたの運勢は?

2026 / 08 / 13

他の星座を見る

Keyword

注目キーワード

家庭画報ショッピングサロンのおすすめ
※外部サイト(家庭画報ショッピングサロン)に遷移します。 ※商品の購入には家庭画報ショッピングサロンの会員登録が必要です。

Pick up

注目記事
家庭画報ショッピングサロンのおすすめ
※外部サイト(家庭画報ショッピングサロン)に遷移します。 ※商品の購入には家庭画報ショッピングサロンの会員登録が必要です。
12星座占い今日のわたし

全体ランキング&仕事、お金、愛情…
今日のあなたの運勢は?

2026 / 08 / 13

他の星座を見る