〔特集〕世界最高峰のピアノコンクール入賞者たちが捧ぐ── ショパン魂の音 ショパンの音楽は、なぜこんなにも人の心に響くのでしょうか。200年近くの間、世界を魅了し続けてきた彼の音楽に敬意を払い、新進気鋭のピアニストたちが挑んだ第19回ショパン国際ピアノ・コンクール。
あの熱狂から3か月。優勝者のエリック・ルーさんをはじめ、コンクール入賞者たちが揃って来日し、日本の聴衆のためのガラ・コンサートが開かれました。間近で触れた新星たちの煌めきを、お届けします。
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連日コンクールを沸かせた
注目の入賞者にインタビュー
[第5位 マレーシア]
話題をさらったマレーシアの新星
ヴィンセント・オン

ヴィンセント・オン2001年生まれ。マレーシアで、ピアニスト・作曲家のン・チョン・リム氏のもと学びはじめる。現在は、ベルリンのハンス・アイスラー音楽大学でエルダー・ネボルシン氏に師事。最初のコンクールの成功は、2019年台北の国際マエストロ・ピアノ・フェスティヴァルでの優勝。2024年ロベルト・シューマン国際音楽コンクールで第1位。
ショパンはいつも新しい景色を見せてくれます
「生活が一変して、いろいろなことに慣れようと必死に頑張っているところです。日々のスケジュール、数年先までの演奏会やレパートリーの計画、ワークライフバランス……。世界を舞台に演奏できるなんて、考えてもいなかったので。今回初めて日本に来ることができて、とてもうれしいです。日本文化は常に尊敬してきましたし、クラシック音楽や、ショパンコンクールへの関心の高さも、実感しました」
マレーシア人初のファイナリスト、突然現れた新星と、コンクールを見守る聴衆やソーシャルメディアで注目を集め、母国でも大きなニュースとして取り上げられたそうです。
ワルシャワ・フィルを指揮するアンドレイ・ボレイコ氏とハイタッチし、ファイナルの舞台へ。(© K. Szlęzak/NIFC)
「3月に帰国し演奏会をするのですが、あっという間に完売だったそうで、驚いています。マレーシアでクラシック音楽文化が根付くきっかけになると、いいけれど……どうかな?」
独特の雰囲気を漂わせ、彼ならではの音楽表現で客席を魅了します。
「ショパンは私の一部になりました。長い時間を共に過ごす家族のような存在。愛おしかったり、時には嫌いにもなったり、離れたくなったり、でも必ず戻ってくる。ショパンは、いつも新しい景色を見せてくれるんです。弾くことで自分が満たされる。一生弾き続けるでしょう。コンクールに向けて集中して弾いていたら、手首や指の柔軟さ、腕の使い方など私の演奏技術も変わりました。ショパンはピアノ演奏に革命を起こした人。私の変化も彼のピアニスティックな曲だからこそですね」
コンクールでは、シゲルカワイのピアノを選択。眼鏡がずり落ちそうになるほどの熱演にファン急増。反田恭平さんが眼鏡留めをプレゼントしたことも話題になった。(© W. Grzędziński/NIFC)
初の日本リサイタルツアー
「 ヴィンセント・オン ピアノ・リサイタル」
2026年7月13日(月)~19日(日)
東京、大阪、名古屋、福岡にて公演。
※予定枚数終了の場合あり。
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