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桜の名画の鑑賞に。山種美術館で訪ねる桜の絶景、心の故郷

2026.04.10

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〔特集〕次世代に伝え継ぎたい 桜絶景を求めて 日本が世界に誇るべき「美しい桜の風景」は、そのどれもがそれを守ろうとする人々の確かな意志によって支えられています。将来の日本人の美意識のために次世代に伝え継ぎたい桜絶景はどこか。長年、桜名所や桜を守る人々を取材してきた家庭画報本誌が、現在の手入れ・管理状況なども踏まえつつ、改めて桜の専門家とともに「新・桜100景」として厳選し紹介します。

特集「桜絶景を求めて」の記事一覧はこちら>>>

山種美術館で訪ねる
桜の絶景、心の故郷

昔も今も、別れと出会いを象徴するかのような、儚くも心ときめく桜の風景。近代・現代の日本画家たちも特別な思いを胸に、春を表すモチーフとして描いてきました。桜の季節に、画家の個性や美意識が反映された桜の名画の鑑賞に出かけてみてはいかがでしょうか。東京・山種美術館が収所する桜の名画を館長・山﨑妙子さんがご案内します。

※作品はすべて山種美術館の所蔵


橋本明治(めいじ)《朝陽桜》

福島県 田村郡三春町の「三春(みはる)滝桜」
樹齢1000年超ともいわれる枝垂れ桜の巨木、「三春滝桜」を取材し、写生を重ねたという。繰り返しのパターンにより画面にリズム感を与え、陽光をイメージした金砂子(きんすなご)がまかれる。琳派を意識した装飾的でデザイン性の高い表現となっている。「皇居新宮殿の杉戸に描かれた橋本明治の《桜》を目にする機会を得た初代館長・山﨑種二(たねじ)が、多くの人に見てもらいたいという思いから、同じ趣向の作品を依頼しました」(館長・山﨑妙子)
*『山種コレクション名作選Ⅱ 現代編』(2026年12月12日~27年3月7日)にて展示予定。

奥村土牛(とぎゅう)《醍醐》

京都市伏見区、醍醐寺三宝院の「太閤しだれ桜」
圧倒的存在感を放つ樹齢170年の名木。土牛は数日間通い、夕暮れまで写生した。薄く溶いた絵の具を何十回も塗り重ね、ふっくらとした淡紅色の花びらの量感を出している。「土牛はこの名木に『極美(ごくび)』を感じたといいます。気品と静謐、そして穏やかさを併せ持った83歳の時の作品。立派な幹も見どころです」。
*『奥村土牛展』(2026年8月8日~10月4日)にて展示予定。

奥村土牛《吉野》

奈良県 吉野郡吉野町の「吉野山」
土牛は春の吉野を初めて訪れた際、花の印象が強すぎて山の全貌を見ることができず、新緑の時季や秋など数回吉野に赴いて完成させた。「吉野の桜の歴史にも心を寄せ、歴史画を描くような荘厳な気持ちで、目頭を熱くしながら制作したそうです。近景の桜と、ぼかしを使った遠景の山々との対比も見事です」。
*『奥村土牛展』(2026年8月8日~10月4日)にて展示予定。

土田麦僊(ばくせん)《大原女》

京都市左京区大原
胡粉(ごふん)で厚みをもたせた桜の描写には桃山絵画の影響が、人物の描写にはルノワールやセザンヌなど西洋絵画への意識が感じられる。足もとに複数の線を残している点にも独自の工夫がうかがわれる。「本作品の制作のために、麦僊は大原に何度も滞在し、『骨身をけずる思い』で描いたと作画の苦労を語る、画家の自身作です」。

小林古径(こけい)《弥勒》

奈良県宇陀市、大野寺の弥勒磨崖仏(みろくまがいぶつ)
崖壁に線彫りしたこの約14メートルの像を描く前年、古径は奈良や京都を訪ね、想を得たという。背景は濃彩のやまと絵風で、仏像は墨線のみで表現。「東洋画の線」と題した文章を発表しているように、線へのこだわりが見て取れる。「縦2メートルを超える大作で、咲き誇る山桜と人物の存在で磨崖仏の大きさが強調されています」。

横山大観(たいかん)《春朝》

「大観は富士山の画題が有名ですが、桜も繰り返し描いており、なかでも山桜を好んでいました。金泥(きんでい)の霞を背景に、淡い紅色の花と茶を帯びた若葉が朝日に輝いています」

松岡映丘(えいきゅう)《春光春衣》

「鮮明な色彩と金銀が使われた、縦約1.6メートルの大作。映丘は平安期のやまと絵を参考にしながら、色彩や画面構成には近代感覚も取り入れました。作者の意気込みが感じられる作品です」


山種美術館の特別展
『花・flower・華 2026』
-横山大観の桜・川端龍子の牡丹・速水御舟の梅-

2026年5月10日(日)まで開催
この春、桜をはじめとする、四季折々の花を描いた日本画の数々で百花繚乱の世界が広がる山種美術館。朝日に輝く山桜を描いた横山大観《春朝》、雨上がりの陽光の中で咲く紫陽花をみずみずしく表した山口蓬春《梅雨晴》、色鮮やかな菊花が目を楽しませる酒井抱一《菊小禽図》、紅梅の咲く古木と白梅の咲く若木とが対照的な速水御舟《紅梅・白梅》など、春夏秋冬それぞれの季節を感じさせる花の名画が一堂に会します。また、田能村直入の、四季の草花100種が忠実に描かれた《百花》も揃い、華やかな世界が広がります。

山種美術館
東京都渋谷区広尾3-12-36
TEL:050-5541-8600(ハローダイヤル)
開館時間:10時~17時(入館は閉館の30分前まで)
月曜休館 ※2026年5月4日(月・祝)は開館

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『家庭画報』2026年04月号

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