〔特集〕影絵作家・藤城清治 101歳 “生きる喜び”を届け続けて 戦前から絵を描き、戦後、絵の具のないなか“光さえあればできる”と影絵を始めた藤城清治さん。101歳の今なお日々創作に勤しむ藤城さんの原動力は、“生きる喜び”を表現すること。厳しい現実にも真摯に向き合い、平和を願いながら、夢と希望を描き続ける藤城ワールドへ、ようこそ。
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《生きるよろこび》(1995年)
「環境の日」の公式ポスターとして制作。樹木が繁り、花が咲き、果物が実り、動物も鳥も魚も昆虫もみんな生き、光があり、空気があり、水がある。だから地球はこんなにも素晴らしい。そのことを表現するため“魚を空中遊泳させてしまった”作品。
《菜の花の道》(1980年)
一面に菜の花が咲き誇る小道を歩く、赤い帽子の女の子とこびとと猫。その先は満開の桜が咲く山並みへと続いている。この風景は具体的なスケッチではなく、制作時によく出かけていた奈良をイメージの起点とした、藤城さんの想像による日本の春の景色だ。
[第1章]101年の歩み
今なお名作を生み出すアトリエへ
アトリエの椅子に座ると、一瞬で創作の世界へ。驚異的な集中力。
藤城清治(ふじしろ・せいじ)影絵作家。1924年東京都生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。慶應大学予科(高校)で猪熊弦一郎氏、脇田 和氏に師事。1948年から『暮しの手帖』に影絵を連載し、1952年に人形と影絵の劇団「木馬座」を結成。「ケロヨン」が爆発的人気に。世界各国で影絵展、影絵劇の上演を行う。現在も意欲的に創作活動を続ける。
目黒区の閑静な住宅街にある、1963年建築の藤城さんのアトリエ。玄関では、20年以上飼い続けているフクロウのクックと水槽で悠々と泳ぐ古代魚のピラルクが出迎えてくれます。
広いアトリエの一角。テーブルは下からライトが当てられる大きなライトテーブル。左手の黒い椅子が、藤城さんの指定席。
藤城さんが大好きな猫は、アトリエに2匹と、藤城さんの自宅スペースに相棒のアビー。人間と一緒に動物たちが自由にくつろぐ、まさに藤城ワールドです。2階の広々としたアトリエに置かれた大きなライトテーブルの前に座り、黙々と手を動かす藤城さんです。
片刃のカッターを自在に使い、生き生きとした線を生み出す。
下絵などに使用するカラーペン。色ごとに分けられている。
洗練されたデザイン
《ぼくの目は猫の目》(1987年)
画面いっぱいに広がる夢の世界とともに私たちを魅了してやまないのは、作品から感じられる藤城さん独自の洗練された雰囲気。大きな目をもつ男の子の黒いシルエットとダイヤモンドチェックの服、つばの広い青い帽子、頭の上の猫の組み合わせや色合いが、おしゃれとは何かを教えてくれる。
繊細な表現
《月光の響》(1981年)
藤城さんの作品で、キャラクターとともに大きな存在感を放つのが、悠々と枝を伸ばす大樹。豊かに繁るたくさんの葉は、一枚一枚、藤城さんの手により切り出されることで生命力を宿す。本作は、木の葉を通した月の光を表現した、この時期の代表作。
ユーモア溢れるキャラクター
《猫ずもう》(2003年)
長年、相撲の大ファンでもある藤城さん。居並ぶ猫の力士たちの表情が、笑顔を誘う。のぼりや化粧まわしの“粋”もお気に入り。猫、ケロヨン、モグラのモグちゃん、こびとをはじめとするさまざまなキャラクターは、生き物すべてが仲間だという世界観を表している。藤城さんの作品の欠かせない魅力。
(次回に続く。
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