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「根来(ねごろ)」──朱の下にのぞく黒、二色の漆が重なり合う美

2025.12.27

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朱と黒。その二つの色の重なりは、日本人が積み重ねてきた長い時間の経過から生まれたもの。根来と呼ばれる漆器は、華やかさを競うものではありません。堅牢な下地を施した木地に、黒漆の中塗、朱漆の上塗を重ね、祈りの場や日々の営みの中で使い続けられるうちに、朱が摩耗し、下地の黒がのぞく――その偶然性から生まれた表情こそが、根来ならではの魅力です。

瓶子 一口 サントリー美術館

瓶子 一口 サントリー美術館


サントリー美術館で後期展示が始まった「NEGORO 根来 ― 赤と黒のうるし」展。中世に和歌山県で栄華を極めた根來寺(ねごろじ)で造られた漆器を起点としながら、寺院・神社の道具として生まれた器が、やがて人々の暮らしへと浸透していく過程を、選び抜かれた作品群とともにたどります。時代や用途を超えてもなお失われないその姿からは、実用と精神性が分かちがたく結びついていた時代の空気を感じ取ることができます。それを象徴的に表しているのが、奈良・東大寺に伝わる重要文化財「二月堂練行衆盤」。二月堂修二会(お水取り)の食事作法に用いられる盤で、食器類を載せた部分の景色は、一つとして同じものがありません。

重要文化財 太鼓樽 文明5(1473)年銘 一基 堺市美術館

重要文化財 太鼓樽 文明5(1473)年銘 一基 堺市博物館



また、近代以降、随筆家の白洲正子、映画監督の黒澤明など、独自の審美眼をもつ人々が、生活の中で根来を慈しんできた事実も、この造形が一過性の様式ではないことを物語っています。終盤では重要無形文化財保持者の黒田辰秋、写真家の杉本博司など現代作家の作品も紹介され、根来が過去の遺産ではなく、今も思考と創作を刺激し続ける存在であることが静かに示されます。

重要文化財 布薩盥 二対四口のうち一口 寛正3(1462)~天文8(1539)年頃 水戸大師 六地蔵寺 撮影/山崎兼慈

重要文化財 布薩盥 二対四口のうち一口 寛正3(1462)~天文8(1539)年頃 水戸大師 六地蔵寺 撮影/山崎兼慈


目立つことなく、しかし確かに心に残る。朱と黒の世界に身を置く時間は、美とは何か、使うとはどういうことかを、そっと問いかけてくれるはずです。

NEGORO 根来 ― 赤と黒のうるし
展覧会情報
NEGORO 根来 ― 赤と黒のうるし
会期 2026年1月12日(月・祝)まで
会場 サントリー美術館
東京都港区赤坂9-7-4 東京ミッドタウン ガレリア3階
電話 03-3479-8600
開館時間 10時~18時
※金曜日および1月10日(土)は20時まで
(入館は閉館30分前まで)
休館日 火曜日(1月6日は開館)、12月30日~1月1日
入館料 一般1800円/大学生1200円/高校生1000円
※中学生以下無料
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