
東京・国立西洋美術館で開催中の展覧会『オルセー美術館所蔵 印象派―室内をめぐる物語』。オルセー美術館との本格的な共催、そして印象派コレクションがこの規模で来日するのが10年ぶりというのも話題のひとつです。展覧会の見どころを、本展に携わった美術展プロデューサーの今津京子さんが解説します(全3回)。
※記事の最後には、会員限定のチケットプレゼントもあります。ぜひご応募ください。
前回までは「室内」で描かれた肖像画や日常の風景を紹介しましたが、展覧会の後半では、インテリアや室内装飾、工芸品などに注目し、自然や光の新しい室内への取り込み方を紹介します。
アルベール・バルトロメ《温室の中で》は、19世紀後半に流行したガラスの温室を舞台に描かれた作品です。鉄の支柱にガラスを入れて光を取り込んだ明るい空間は、その名の通り植物を育てるのはもちろんのこと、応接室の役割を果たして社交の場となりました。実際、彼らの家にはいつも多くの客人が訪れていたそうです。
モデルは画家の夫人で、展覧会では絵画の横に、実際に彼女が着ていた、驚くほどウエストの華奢なドレスも飾られています。絵画作品と共に受け継がれてきたもので、オルセー美術館が所蔵する唯一のテキスタイルの作品となっています。本展のテーマによく合って注目を集めている作品のひとつです。
画家で、印象派の友人たちのパトロンでもあったギュスターヴ・カイユボットは自邸のための装飾を手がけました。園芸や造園への情熱を持ち、植物によって室内を装飾することにも関心を抱いていました。この《ヒナギクの花壇》は、裁断、修復などを経て2枚のパネルに再構成されたもので、画面いっぱいに白い花が壁紙のように描かれています。右下の白い空白はおそらく家具か暖炉が置かれることが想定されていたのでしょう。
国立西洋美術館が所蔵するモネの《睡蓮》の大作とそれを原画にした毛織物が2点展示されています。
毛織物は友人の美術批評家ギュスターヴ・ジェフロワの発案によるもの。国立ゴブラン製作所の所長に就任した彼は、この製作所の活性化と刷新を試みて睡蓮の大型タペストリーを提案したといいます。結局、モネの関心はこのプロジェクトから遠のいてしまったようで、今回、展示された2点だけが残っています。
モネがオランジュリー美術館に展示デザインを考え、1927年彼の死後に完成した《睡蓮の部屋》は究極の室内装飾と言えるでしょう。1890年に彼はジヴェルニーの邸宅と土地を買って庭づくりに励み、橋が架けられた池が重要な着想源となりますが、1897年ごろにはすでに、一連の《睡蓮》の絵画だけで一部屋を飾ることを考えていたといいます。やがてオランジュリー美術館に結実することになる、一連の大型の睡蓮の絵画は「大装飾画」と呼ばれていました。
しかしながら、現代の我々の感覚ではもはや室内装飾というジャンルを超えて、瞑想的な没入空間といった方がしっくりします。国立西洋美術館には、この大装飾画プロジェクトに取り組む過程で描かれた習作と考えられる作品が2点所蔵されています。どちらも実業家の松方幸次郎がモネの自宅を訪れて直接購入した貴重な作品で、本展の締めくくりを飾っています。
オルセー美術館所蔵 印象派─室内をめぐる物語抽選で5組10名様に本展の鑑賞券をプレゼントします。
応募には、家庭画報.comの会員登録(無料)が必要です。未登録の方は応募ボタンから「新規会員登録」へお進みください。
応募締め切り:2026年1月12日(月・祝)23:59まで
注意事項(必ずお読みください)
●当選の発表はプレゼントの発送をもってかえさせていただきます。抽選結果に関するお問い合わせはお答えしかねます。
●住所不明・長期不在等で届かなかった場合は、当選を無効とさせていただきます。