
東京・国立西洋美術館で開催中の展覧会『オルセー美術館所蔵 印象派―室内をめぐる物語』。オルセー美術館との本格的な共催、そして印象派コレクションがこの規模で来日するのが10年ぶりというのも話題のひとつです。展覧会の見どころを、本展に携わった美術展プロデューサーの今津京子さんが解説します(全3回)。
※記事の最後には、会員限定のチケットプレゼントもあります。ぜひご応募ください。
2022年初夏。オルセー美術館上層部の友人から「今後の展覧会プロジェクトについて相談したい」という連絡をもらいました。世界中に広がったコロナ禍で、多くの展覧会がキャンセルあるいは延期に追い込まれましたが、一段落して先々のプログラムを見直す時期でした。すぐに東京の同僚に伝えて国立西洋美術館に話したところ、袴田紘代主任研究員から、今まで日本で扱ったことのない「印象派の室内」をテーマにするのはどうだろうかというアイデアが浮上。オルセーも賛同し、話がトントンとまとまりました。
印象派の画家たちは、時間の経過による光の変化や色彩の移り変わりに関心を持ち、キャンバスを持って屋外にでて、自然の光のもとで描くようになりました。従来の伝統的な絵画の技法とは一線を画するアプローチで、それは特に屋外の風景画において強く表現されました。しかしながら、画家たちは同時に、急速に近代化が進む都市環境とライフスタイル、そしてそこに住む人々に対しても大きな関心を寄せていたのです。
本展の欧文タイトルは『印象派の室内=親密さ、装飾、近代性』となっています。室内はしばしば生活の場所でもあり、画家にとって個人的な、親密な空間と言えます。音楽だけでなく読書や手芸をするモデル、そして入浴場面など日常の情景が多数描かれました。ゆえに身近な女性や子どもが多く登場するのも本展覧会の特徴の一つです。
クロード・モネの《アパルトマンの一隅》は、モネの長男ジャンがモデルと考えられています。子どもたちを描いた可愛らしい絵が並ぶ中で、この作品は異彩を放っています。
手前が明るく、奥にいる人物は暗く、その表情すらわからない── この時代には珍しい、〈逆光〉で描かれているからでしょう。モネの革新性を思い知らされる作品として私は心打たれました。本展のオルセー美術館監修者のアンヌ・ロビンスさんのおすすめの作品でもあります。
・次回へ続く。第2回「ドガ、マネ、モネ──巨匠たちが描いた肖像画から読み解けることとは」を読む→
オルセー美術館所蔵 印象派─室内をめぐる物語抽選で5組10名様に本展の鑑賞券をプレゼントします。
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応募締め切り:2026年1月12日(月・祝)23:59まで
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