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辻井伸行 祈りのピアノ【後編】一夜限りの特別なコンサート

2025.12.24

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〔特集〕長崎・浦上天主堂に響く、平和を願う音 辻井伸行─祈りのピアノ─(後編) 被爆から80年の2025年8月、ピアニスト、辻井伸行さんは長崎・浦上天主堂を訪れ、一夜限りのコンサートを行いました。音楽家としてできること、平和を願う音楽を届けるために──。辻井さんが自ら強い想いで叶えた、この特別なコンサートを追いかけました。前編はこちら>>

祈るように演奏する辻井さん。山根基世さんが朗読する『娘よ、ここが長崎です』の章「アンゼラスの鐘は残った」を受けて静かに始まったピアノの音。その鐘を思わせる響きが、聴衆の心を震わせた。

辻井伸行( つじい・のぶゆき)
1988年東京都生まれ。国際的ピアニスト。2009年6月、第13回ヴァン・クライバーン国際ピアノ・コンクールで日本人として初優勝。2024年、名門ドイツ・グラモフォンと日本人ピアニストとして初の専属契約。2026年6月より、ソリストとして『タルモ・ペルトコスキ指揮 トゥールーズ・キャピトル国立管弦楽団 日本ツアー』に参加。

被爆から80年。平和への願いを込めて──
一夜限りの特別なコンサートが始まる

2025年8月、ピアニスト、辻井伸行さんの強い想いを受けて、一夜限りのコンサート『NAGASAKI 浦上天主堂2025 あの日から80年~祈りの鐘、希望の音楽』が行われました。

厳かな空間の中、演奏者と聴衆が平和への想いを一つにした特別な時間。壇上では加古クァルテットが演奏。

天主堂の鐘の音が響き渡った直後に登場したトランペット奏者、松井秀太郎さんの「Trust Me」でコンサートの幕が開けた。

美しくしなやかな声で聴衆の心を摑んだコロラトゥーラ・ソプラノ歌手の田中彩子さん。

曲の間には、アナウンサーの山根基世さんが、被爆医師の故・永井 隆さんの娘である筒井茅乃さんの著書『娘よ、ここが長崎です』を朗読し、戦争の悲惨さ、平和の大切さを声で伝えました。


「本を改めて読み、永井博士の、二人の子どもを残していくことがどんなに心残りで無念だったか──、親子の愛情、家族の愛情、夫婦の愛情、そういったものを引き裂くのが戦争です。音楽家の皆様が魂を込めて演奏し、心を一つにして美しいものを表現する、それは聴く人の心を打ちますし、これが平和だと思いました」(山根さん)。

コンサートの核となった山根基世さんの朗読。その声を受け止め、祈りを込めて音楽家たちが演奏する──その交互に繰り広げられる朗読と演奏がコンサートを特別なものにしていた。

コンサートの中盤には、加古 隆クァルテットが「パリは燃えているか」を含む組曲『映像の世紀』を演奏し、聴衆の感動を誘いました。

「浦上天主堂のすぐ500メートルで原子爆弾を爆発させた──そんな場所は世界にない、あっていいわけがない。僕にとって演奏する時間は一つの祈りの形、祈りを捧げる時間なんです。そうした祈りの時間を、長い間想いが込められてきたこの場所で、今日多くの方々とともにいられたことは得難いことだと思っています」(加古さん)。

ドラマティックな照明と物語を感じる加古 隆さんの音楽に、目を潤ませ聴き入る姿も多く見られた。

辻井さんは、ソロ、デュオ、クインテットと幾たびも登場し、最後まで心を込めて音を届けていました。

「僕ができる音楽の力で、平和を伝えていくことが大切だと思っています。これからもその想いとともに音楽を奏でていきたい」(辻井さん)

ヴァイオリニストの三浦文彰さんとブラームス「ヴァイオリン・ソナタ第1番《雨の歌》」を演奏する辻󠄀井さん。聴き入る約630人の長崎県民のなかにはノーベル平和賞を受賞した日本被団協の方をはじめ被爆者団体の方々も。

この記事の掲載号

『家庭画報』2026年01月号

家庭画報 2026年01月号

撮影/大泉省吾 取材協力/浦上天主堂 NBC長崎放送

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