ロメロ・ブリットさんに独占インタビュー
「愛と希望、幸福を届けるために描いています」── ロメロ・ブリットさん
オープニング・セレモニーが行われた日、忙しい合間を縫って、『家庭画報』のためにお話しいただきました。
彫刻作品も手がけるロメロさん。「トルソー・クラシック」シリーズとともに。着用しているスーツも自身のデザイン。後ろはポートレート作品。
── ロメロさんは、影響を受けた画家として、ピカソとマティスの名前を挙げています。どんな影響を受けたのでしょうか。
「20歳のときに初めてパリを訪れ、それまで画集や教科書でしか知らなかった名画を実際に見ることができました。なかでもピカソは画面構成やキュビスムの技法、マティスは色彩と、人生に喜びを与える絵画を目指すという点に学びを得ました。マイアミに移ってからは、リキテンシュタインやウォーホールなど、ポップ・アートの巨匠たちの作品を生で見ることができ、インスピレーションを得ています」
《ダッチ・アイコン》ヨハネス・フェルメールの『真珠の耳飾りの少女』は、頬にハートマークを描くのがロメロさん流。
── 大谷翔平選手のポートレートは、描いてみていかがでしたか?
「旧知のレストランのシェフを通じて、彼を描くことになりました。彼のプロ意識や野球を極めようとする精神をとても尊敬しています。私がポートレートを描くときには、その人から滲み出る個性を、外見と内面の両方から表現したいと思っています」
ロメロさんが使った筆。鮮やかな色の絵の具が残っている。
── これまでに2億ドル以上を250以上の慈善団体に寄付され、チャリティにも力を入れています。
「アメリカに移り、多くの人々が慈善活動に参加する姿を見て感銘を受けました。私が特に重視しているのは教育分野です。私自身も2007年にブリット財団を設立し、教育や芸術振興を目的とした活動を行っています」
《ワイルドライフ・アライアンス》世界最高峰といわれるサンディエゴ動物園を描いた作品。作品の売上の一部は動物保護のために使われる。
── 作品の制作には、どんな思いを込めていますか?
「私は常に、自分の作品から愛や希望、幸福を感じてもらいたいと思っています。だから私自身も、毎日幸せな気持ちでいられるわけではありませんが、できるだけ前向きな気持ちを保つようにしています。アトリエでは必ず音楽をかけ、立ったまま制作します。たまにダンスするときもありますね(笑)」
《ブリット・ウェーブ》葛飾北斎の『神奈川沖浪裏』も、ロメロさんの手でポップ・アートに。
ロメロさんをよく知る二人に聞いた
「私の知るロメロ」

今回一緒に来日した、ロメロさんの長男のブレンダンさん(上写真・右)と、ビジネスパートナーのルーカス・ビダルさん(上写真・左)。ロメロさんの元気を支える二人にも話を聞きました。
ブレンダン・ブリットさん(ロメロさんの長男)「私にとって、どんなに成功を収めても、いつも父は父のまま。幼い頃からティーンエイジャーを経て今にいたるまで、難しい年頃であっても、常に私の決断をサポートしてくれました。叱られたことは一度もありません。父の作品が、大好きな日本で愛されていることは本当に嬉しいです。ギャラリーがオープンしたことによって、父が日本に来る回数も増えることでしょう。私も必ず一緒に来ます」
ルーカス・ビダルさん(BRITTO® CEO)「日本でギャラリーを開設することができ、日本のみならず、アジアでの拠点ができたことをとても嬉しく思っています。私たちにとって一番大切なのは、ロメロの幸福なメッセージを世界中に広めること。ファイン・アートはもちろんですが、彼が一つ一つ心を込めてデザインしたTシャツやぬいぐるみなどのアイテムも、気軽に手に取っていただきたいと思います。世界には幸福が必要ですから!」
(次回に続く。
この特集の記事一覧はこちらから>>)