〔特集〕大阪・関西万博で世界が注目! 活気づくOSAKAへ。─世界に誇れる大阪の魅力─ いよいよ「大阪・関西万博」が開幕。世界が注目する大イベントを前に、大型ホテルの建造ラッシュ、美術館の新設や大規模リニューアル、“大阪最後の一等地”うめきたエリアの「グラングリーン大阪」の進展など、大阪の街は大変貌を遂げています。活気づくOSAKAで世界に誇れる文化の魅力を探訪します。
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芸術都市に大変貌。大阪のアート新名所を巡る

【大阪中之島美術館】1983年、大阪市制100周年記念事業基本構想として「近代美術館の建設」が発案されてから約40年後の2022年に開館。大阪出身の現代美術家ヤノベケンジさんの巨大彫刻《ジャイアント・トらやん》は、4階と5階をつなぐ階段横に常設展示されている。「人に喜んでもらうことが創造の原点」とヤノベさん。
構想から40年。美術とデザインの新殿堂「大阪中之島美術館」(中之島)

淀川の分流である堂島川と土佐堀川に挟まれた大阪・中之島に2022年に開館した「大阪中之島美術館」は、黒い直方体の外観が特徴的です。
黒い直方体の内部に入ると、吹き抜けの大空間が広がる。緩やかな勾配の階段を上り、2階からはエスカレーターで展示室へ。
そして、その漆黒の建物と鮮やかなコントラストを描くように2階の芝生広場に佇むのが、宇宙服や潜水服のような朱色のスーツをまとった巨大な猫の彫刻《SHIPʼS CAT(Muse》。
大阪の豊かなユーモアの精神(センス)が、私の創造の原点──ヤノベケンジ(現代美術家)

漆黒の建物の前に対照的な朱色の作品を置くことで、互いに引き立て合う関係性を目指したと話すヤノベさん。館内では、《SHIP’S CAT(Muse)》関連のミュージアムグッズも数々揃う。
制作した現代美術家ヤノベケンジさんは「シップスキャットとはネズミから貨物を守るために船員とともに世界中を旅した猫のことで、その場の守り神のような存在。17年から国内外でこのシリーズを手がけてきましたが、中之島では世界に羽ばたく美術館の守り神になるようにとの願いを込めました」と話します。
アート──中之島=芸術文化島(アートアイランド)
万博記念公園の近くで育ったヤノベさんにとって、創作の原点にあるのは日本万国博覧会で太陽の塔を手がけた芸術家・岡本太郎氏と、大阪の豊かなユーモアの精神だといいます。
「深刻な出来事が多い現代にあって、ユーモアはそれを乗り越えるための唯一の武器。美術館建設の構想から約40年を経て完成した大阪中之島美術館で、その真価を体感してほしいと思います」。
大阪中之島美術館
「パッサージュ(遊歩空間)」をテーマに、気鋭の建築家、遠藤克彦さんが設計を担当。中之島の芸術文化ゾーンの中心的存在となった同館は、19世紀後半から21世紀の現代までの近代美術・現代美術を中心に、地元大阪ゆかりの作家の作品などを6000点以上所蔵。2025年6月1日(日)まで「生誕150年記念 上村松園」が開催されている。
住所:大阪市北区中之島4-3-1
電話:06(6479)0550
開場時間:10時~17時(入館は16時30分まで)
休館日:月曜(祝日の場合は翌平日)
https://nakka-art.jp/
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