更年期からの“発毛ライフ”を
無理なく「続ける」ための新しい選択肢
通院や自宅ケアなど、女性の発毛治療の選択肢が広がる今、自分に合う方法を暮らしに取り入れるには? 更年期からの“発毛ライフ”について、クレアージュ総院長の浜中聡子先生に伺いました。
クレアージュ総院長 兼 クレアージュ東京院長
浜中聡子先生
北里大学医学部卒業。女性薄毛治療歴18年。国際アンチエイジング医学会専門医、米国抗加齢医学会専門医、米国先端医療学会専門医。女性の頭髪に関する悩みや更年期にまつわる悩みを専門分野とし、精神と体の両面からケアすることを得意とする。www.womenshealth-tokyo.com
更年期の薄毛はいくつもの要因が重なって起こる
更年期を迎える頃、「髪が細くなってきた」「分け目が目立つ」「以前よりボリュームが出にくい」などと感じる女性は少なくありません。その背景には、加齢に伴う女性ホルモンの分泌量低下と頭皮の血流量の減少があります。
女性の薄毛治療を専門に行うクレアージュ総院長の浜中聡子先生は、「女性ホルモンは20代後半をピークに低下していきます。なかでも変動が大きいのが産後と更年期。特に40代後半から50代前半は閉経へと向かう時期でもあり、その影響が髪にも現れやすくなります」と話します。頭皮も例外ではなく、血流が低下すると毛根に栄養が届きにくくなり、その結果、抜けた後に次の髪が育ちにくくなることも。さらに、髪質の変化や白髪、うねりなど複数の加齢変化が重なって現れるのがこの時期なのです。
浜中先生は、年齢によるこうした変化のほかに日常的なカラーリングの負担や食生活の乱れ、睡眠不足などにも目を向ける必要があると話します。
「女性の薄毛は、こうした後天的な要因も少なからず関係しています。もともとの髪質や白髪が現れる早さは遺伝の影響が強いのですが、女性の場合、薄毛に関しては、遺伝的な影響は2割程度といわれています。ですから『年齢や遺伝のせいだから仕方がない』と諦める必要はありません。早めに状態を見極め、その方に合った対処をすることが大切です」
女性に多い“薄毛”の3大要因
[牽引性(けんいんせい)脱毛症]髪が長時間引っ張られることで頭皮に負担がかかり、血行不良が起きて生え際や分け目が薄くなる脱毛症。ポニーテールやエクステなどを長期間続けることで起こりやすい。
[びまん性脱毛症]特定部位に偏らず、頭部全体の髪が均一に薄くなり、分け目や頭頂部の地肌が透けて見えるのが特徴。徐々にボリュームが減って見える、女性の薄毛に多く見られる脱毛症の一つ。
[FAGA]生え際や頭頂部を中心に毛量が減り、分け目の広がりなどが目立ってくる進行性の女性型脱毛症。男性のAGAのように特定の部位が顕著に薄くならず、広い範囲で毛量が減少する。
気になった時が治療を始める一つの目安
では、発毛治療はいつ始めればよいのでしょうか。浜中先生は「気になった時」が一つのタイミングだと話します。
「もちろん、薄毛が進行してから治療をしても改善は期待できますが、肌のケアと同じように、下降してから持ち上げるより、ある程度のところで治療を始めたほうがご本人の負担も少なくて済み、効率的だと思います」
クリニックでの発毛治療の中心的な役割を担うのが、頭皮の血管拡張作用が期待できる薬剤ミノキシジルです。
「ミノキシジルは、発毛の治療薬として長い実績がある薬剤で、使用を続けても体への蓄積性や依存性がありません。また、専門クリニックではその方の状態に合わせて薬剤の形態や濃度、量を調整するため、長く治療を続けるうえでも取り入れやすい薬剤だと考えています」
更年期女性の発毛治療を支える「ミノキシジル」とは?
ミノキシジル(内服薬)
ミノキシジル(外用薬)
発毛・育毛に用いられる脱毛症の治療薬です
髪の毛を作り出す「毛包」内の毛母細胞に働きかけるほか、頭皮の血流を促して髪の成長を支える役割も果たします。ミノキシジルは市販の外用薬にも配合されていますが、医療機関では症状や体質に応じて処方を調整できるのが利点。浜中先生が院長を務めるクレアージュ東京では院内調剤により、内服薬は0.5~8ミリグラム、外用薬は6~20パーセントの7種類を用意。低用量・低濃度から始め、頭皮状態などを確認しながら適した濃度へと段階的に調整しています。
発毛治療とともに見直したい更年期の体と日々の暮らし
長年、女性の発毛治療に携わってきた浜中先生が、薬による治療とともに大切にしているのが、発毛を支える土台となる全身の健康を整えることです。特に更年期には、高脂血症や骨粗しょう症のリスクが高まります。また、抜け毛の原因が甲状腺疾患などの内科的な病気である場合も少なくありません。検査でこれらの疾患が見つかった場合、必要な医療機関と連携し、発毛治療を計画。また、患者さんには日常生活についても助言をすると話します。
「特に意識したいのが、睡眠と食事です。更年期は中途覚醒や寝つきの悪さなどで睡眠の質が落ちやすく、食事では体重を気にして量を減らすと、髪の材料となるたんぱく質も不足しがちです。また近年は、猛暑による夏バテの影響が秋口の抜け毛となって現れるケースも増えています。季節の変わり目には、睡眠と栄養を改めて見直してほしいですね。全身の健康と髪のためにも自分自身に手をかけることが、美しく年を重ねる秘訣です」
そのうえで大切なのは、治療を無理なく生活に取り入れ、継続していくこと。次の見開きでは、新たに登場した治療法を例に、ライフスタイルに合わせた発毛治療についてご紹介します。
[全体的に薄い]
(内服薬+外用薬)60代before
after![[全体的に薄い]after](https://images.www.kateigaho.com/media/article/183180/images/editor/3a9426b7b0f1f253e206860688155aacf6e57e33.jpg?d=330x300)
子宮がんの治療歴があり、初診時はウィッグを使用していたAさん。経過観察期間を終えて治療を開始し、内服薬と外用薬を併用。6か月後には頭頂部を中心に毛量が増え、全体の薄さが改善した。
[生え際・前髪が薄い]
(内服薬+外用薬) 30代before
after![[生え際・前髪が薄い]after](https://images.www.kateigaho.com/media/article/183180/images/editor/c757b578d0c3d7e2116a311d343da9b0760e99a1.jpg?d=530x480)
初診の少し前から突然抜け毛が増え、不安を抱えて来院したBさん。早い改善を希望し、内服薬と外用薬による治療を開始。6か月後には生え際や前髪に発毛が見られ、見た目にも変化が現れた。
[分け目の広がり]
(内服薬)50代
before
after
加齢とともに分け目の広がりが気になっていたCさん。持病のため内服薬は使わず、外用薬で治療を開始。6か月後には分け目の地肌が目立ちにくくなり、髪にハリとコシも感じられるようになった。