第10回 真珠の扉から“夢の世界”へ──
1936(昭和11)年の創業以来、3代にわたり真珠を見つめてきた「清美堂真珠」が、90周年を迎えた今、あらためて真珠の美しさを探求する連載。今回はデザイナーのジョージコジマさんと開いた、黒蝶真珠の新たな扉の先へと誘います。
・第1回 『古事記』から紐解く 古代より貴ばれた「しらたま」の話→
・第2回 初代から守り抜かれた 真珠への思い→
・第3回 3代目 磯和晃至の約束と挑戦→
・第4回 清美堂真珠の宝物→
・第5回 色とりどりのタヒチアンパール→
・第6回 黄金色の真珠に魅せられて→
・第7回 世にも希少な「スーパーピーコック」→
・第8回 「マベゴールデン」奇跡の真円真珠→
・第9回 工業デザイナーが手がけた黒蝶真珠ジュエリーの新たな形→
The Nutcracker
ジュエリーの概念を覆す驚きに満ちたデザイン
外側は、直径17ミリと大粒にして中が空洞になっている大変珍しい虹色の黒蝶真珠。先端のゴールドのラインを引くと中央から2つに開き、中から黄金色の黒蝶真珠と色とりどりのサファイア、煌めくチェーンが華やかに広がり、全く異なる表情に。贅沢な素材づかいと斬新にしてラグジュアリーなデザイン、そして驚きを誘う緻密な仕掛けが一体となって生み出された、唯一無二のスペシャルピース。 “ナッツクラッカー”ペンダント(YG×黒蝶真珠17ミリ/11ミリ×黒蝶ケシ真珠×ダイヤモンド×カラーサファイア)参考商品/清美堂真珠
“すごい黒蝶真珠”で結ばれた絆
左)清美堂真珠 代表取締役社長 磯和晃至さん
慶應義塾大学経済学部卒業。アンダーセン・コンサルティング(現アクセンチュア)を経て清美堂真珠入社。1999年社長就任。タヒチパールプロモーション理事、日本真珠輸出加工協同組合理事、東京真珠加工卸協同組合理事。
右)ジュエリーデザイナー Joji Kojimaさん
1987年アメリカ・カリフォルニア生まれ。15歳頃から独学でジュエリー制作を始め、多摩美術大学在学中からレディー・ガガのアルバムジャケットに作品を提供するなど注目を集める。2010年に「JOJI KOJIMA」をスタート。
磯和 おかげさまでコジマさんにデザインしていただいた“ナッツクラッカー”のコレクションが完成しました。コジマさんと初めて出会ったのは……
コジマ 4、5年前のこと、とある自分の作品に黒蝶真珠を使う必要があって探していたときに“麻布にすごい黒蝶真珠に出会えるサロンがある”と噂を聞いて伺ったのが最初です。
磯和 清美堂真珠はタヒチの養殖業者とのネットワークを築いてきましたので、お探しの色や大きさでクオリティの高い黒蝶真珠をご提供できました。
コジマ その後も時々サロンにお邪魔して黒蝶真珠を見せていただいているなかで、今回“ナッツクラッカー”に使ったこの珠と出会ったのです。真珠は大きくなると表面が美しいものが少ないのに、この珠はくるみを思わせるようなサイズにして夢のような虹色。中が空洞ということにも驚きました。
・「清美堂真珠」の公式サイトで黒蝶真珠の魅力について詳しく見る→
想像力を刺激する黒蝶真珠の神秘性
磯和 核の周囲を真珠層以外のものが取り巻き、真珠の成長の過程でその部分が消失することで中が空洞になった真珠は、5万個に1個くらいの割合で出現します。17ミリもある黒蝶真珠は全体の0.01%未満ですから、この大きさで美しく空洞のある黒蝶真珠は、本当に珍しい希少なピースです。
コジマ 僕の場合、デザインは一瞬で浮かぶのですが、このときも見せていただいてその場でアイディアが湧き上がりました。
磯和 次にお会いしたときに“こんなデザインを考えました、作りましょう!”と、提案していただいて。ユニークで素敵な発想だと思い、そこから構造面でのやり取りを重ねました。
コジマ 僕はジュエリーを学校で学んだ経験がなく、すべて独学なので、どれだけ特殊かは正直よくわからないのですが、確かにあまりジュエリーにない構造だと思います。
磯和 先端のゴールドのラインを引くと真珠が2つに開いて、中からさまざまなピースが広がります。開いた真珠を閉じるときに、コジマさんは最初は手で仕舞うことを考えていらしたのですが、せっかくなら自動的に収まるようにしてほしいとお願いしました。すごいなと思ったのは、格納する方法を何通りも考えたうえで、さらに模型を作ってシミュレーションまでしてくださったことです。おかげさまで、閉じたときも開いたときも美しい、今のデザインを完成させることができました。 “ナッツクラッカー”というコレクション名は、くるみのような黒蝶真珠の形状から発想されたものなのでしょうか?
コジマ くるみのような形状に、チャイコフスキーのバレエ『くるみ割り人形』の世界を重ねました。『くるみ割り人形』の物語って、最初から最後までずっと明るくポップで楽しいわけではなく、主人公の少女が見る恐ろしい悪夢の場面もあるのです。そこに救世主が現れて悪夢が消滅し、色とりどりのお菓子の国に行く……。僕は黒蝶真珠は、ただ品がよくて綺麗なだけではない、人間のいろいろな感情を映し出す神秘的な素材だと思っていて、そんなイメージと『くるみ割り人形』の世界が一つになりました。
磯和 大きな真珠って意外にデザインしにくいのですが、2つに割って、開くと夢の世界が現れるという発想には感銘を受けました
コジマ 内側のゴールドにカラーサファイアが反射するのも綺麗です。
真珠のジュエリーの次の世紀へ
磯和 このカラーサファイアは、いつか黒蝶真珠と組み合わせたいと秘蔵していたもの。黒蝶真珠の虹色と呼応する、よい形で使っていただけました。
コジマ デザインに合わせて貴重なカラーサファイアをリカットさせていただけたのも贅沢なことでした。また、ハイジュエリーのペンダントでは、磯和社長のご提案で18金に24金をメッキすることで、ツタンカーメンのマスクの時代から人類を惹きつけてきた神秘的な黄金色に仕上がりました。
磯和 このハイジュエリーをどんな人にどんな場面でつけてほしい、というイメージはおありですか?
コジマ あまり具体的な限定はないのですが、レッドカーペットのような特別なオケージョンは似合うかと思います。あとは磯和社長からのリクエストは、伝説の怪盗に狙われるようなジュエリーになってほしい、でしたね(笑)。
磯和 ルパンとかオーシャンズとかキャッツ・アイのターゲットになったら面白い、という話をしましたね(笑)。ジュエラーである以上、人生にいくつかは傑作を作ってみたいと思ってきましたが、この作品はおそらくそうなるのではないかと感じています。ジュエリーはつけてこそ価値のあるもの、というのが自論ですが、このハイジュエリーに限っては、眺めているだけでも楽しいはずです。
コジマ 僕にとって黒蝶真珠は創造力を刺激してくれる特別な素材。デザイン画にしているものだけで10点以上、アイディアは100点以上あります。
磯和 すでに第2弾、第3弾は決まっています。清美堂真珠の90周年、そして真珠のジュエリーのこれからの時代の扉を開くにふさわしい作品を作り出すことができたと自負しています。
計算し尽くされたデザインに心ときめく仕掛けを加えて

くるみの殻を模した球体は、左からダイヤモンドをパヴェセッティング、ダイヤモンドをドット状にセッティング、ゴールドのネットを編み上げたもの。くす玉のように開き、艶やかな黒蝶真珠が登場。 “ベビー・ナッツクラッカー”ペンダント左から・(YG×黒蝶真珠約9ミリ×ダイヤモンド)363万円 (YG×黒蝶真珠約9ミリ×ダイヤモンド)242万円 (YG×黒蝶真珠約9ミリ×ダイヤモンド)110万円/すべて清美堂真珠
お問い合わせ/清美堂真珠
電話 03(3408)5799
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