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【美と美味の国・山梨へ】第8回 「酒は、水。」──山梨の清流が育む日本酒を巡る旅

2026.08.12 | PR

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山梨の名水で造られた、笹一酒造の八咫笹一(左)と山梨銘醸の七賢「白心」(右)。

山梨各地の名水が育む、個性豊かな酒を訪ねて

日本を代表する山々に囲まれ、伏流水が豊富な山梨県。国内で流通するミネラルウォーターの約3割が山梨で採水されている。

日本を代表する山々に囲まれ、伏流水が豊富な山梨県。国内で流通するミネラルウォーターの約3割が山梨で採水されている。

名水の里として知られる山梨。富士山、南アルプス、八ヶ岳など、大きく分けて6つの水源があり、それぞれ質の異なる水が湧き出しています。歴史的に酒蔵は物流の拠点となる海沿いの地域に集まることが多く、水源も限られます。一方、山梨には多彩な水源を生かした酒蔵が県内各地に点在し、それぞれ水の個性を映した日本酒を醸しています。


一つのエリアで多彩な味・香りに出会えるのが、山梨の日本酒旅の魅力です。今回は、富士・御坂水系の「笹一酒造」、南アルプス山麓水系の酒蔵「山梨銘醸」と菓子店「金精軒」、そして韮崎市の酒処「coin」を、山梨県出身のモデルである高瀬真奈さんと巡ります。

今回の「山梨」ナビゲーター

高瀬真奈(たかせまな)さん 1999年生まれ、山梨県甲府市出身。モデルとして雑誌や広告を中心に幅広く活躍する。地元・山梨では甲府大使や県央ネットやまなし観光アンバサダーを務めるなど、地方創生に関わる活動にも積極的に参加。お酒も好きで、日本酒を日常的に楽しむ。

高瀬真奈(たかせまな)さん
1999年生まれ、山梨県甲府市出身。モデルとして雑誌や広告を中心に幅広く活躍する。地元・山梨では甲府大使や県央ネットやまなし観光アンバサダーを務めるなど、地方創生に関わる活動にも積極的に参加。お酒も好きで、日本酒を日常的に楽しむ。

山梨のシンボル・富士山
その伏流水が育む食中酒「笹一」の魅力

JR笹子駅から徒歩5分ほどの、笹一酒造「酒遊館」。ほぼすべての同社の商品が購入できるほか、カフェも併設されており、酒粕を用いたスイーツなども楽しめる。

JR笹子駅から徒歩5分ほどの、笹一酒造「酒遊館」。ほぼすべての同社の商品が購入できるほか、カフェも併設されており、酒粕を用いたスイーツなども楽しめる。

旅の最初に訪れたのは、山梨県東部・大月市にある笹一酒造。1661年創業、360年以上の歴史を誇る老舗酒蔵です。「笹一」や「旦(だん)」などの銘柄を手がけ、ANA国際線ファーストクラスで採用されるなど、その品質は国内外で高く評価されています。

笹一酒造の酒造りを支えるのは、富士御坂清流水の仕込み水。山梨県の地理的表示「GI山梨」を構成する6つの水の産地の1つ、富士・御坂水系の名水です。

「蔵があるのは、大月追分という、甲州街道から北口本宮冨士浅間神社へ向かう分岐点。昔から富士山への玄関口とされてきた場所です」。そう話すのは、笹一酒造の天野怜社長。この地に湧く水は、日本でも有数の超軟水でありながら、複雑な地層をゆっくりと通ることで絶妙なミネラルバランスを備え、やわらかな口当たりと奥行きのある酒を生み出します。

醪室で酒造りについて説明を受ける高瀬さん。本格的な酒造りが始まる秋・冬に備え、タンク内は空っぽに。酒をかき混ぜる櫂棒を手にして「こんなに重いもの久しぶりに持ちました」と驚いた様子。

醪室で酒造りについて説明を受ける高瀬さん。7月はちょうど仕込みの合間でタンクは空だったが、酒をかき混ぜる櫂棒を手にして「こんなに重いもの久しぶりに持ちました」と驚いた様子。

地下約100メートルから汲み上げられる仕込み水。大月周辺は地下水が非常に豊富な場所とされ、周囲が断水しても3か月もつと言われているそう。

地下約40メートルから汲み上げられる仕込み水。大月周辺は地下水が非常に豊富な場所とされ、周囲が断水しても3か月もつと言われているそう。

今回は特別に、普段は立ち入ることのできない酒造りの現場を見学しました。訪れたのは7月。取材時は仕込みの合間にあたり、醪を仕込むタンクは空の状態でしたが、地下深くから汲み上げられる仕込み水に触れると、冷たさの中にやわらかな質感を感じます。「この水は、触れた瞬間に違いがわかるほどやわらかいんです」と天野社長。

そんな笹一酒造は2013年、大きな転換期を迎えました。大量生産を支えてきた設備を見直し「量より質」へと大きく舵を切ったのです。「大量生産を支えてきた設備を撤去し、もう一度原点に戻って、少量高品質の酒造りに取り組もうと決めました」。

その決断は酒造りだけでなく、酒を届ける場所も変えました。専門店や料理店、海外の星付きレストラン、ANA国際線ファーストクラスなど、日本酒の価値を理解する人々へ届ける。酒造りでも、料理の味わいを引き立てる“食中酒”としての魅力を追求していきます。

笹一酒造の「八咫笹一」。地元で契約栽培された酒造好適米を自家井戸の仕込み水(写真後方)で醸している。焼き鳥や季節の天ぷら、夏野菜などと相性が良い。

笹一酒造の「八咫笹一」。地元で契約栽培された酒造好適米を自家井戸の仕込み水(写真後方)で醸している。焼き鳥や季節の天ぷら、夏野菜などと相性が良い。

そんな笹一酒造を代表する一本が、「八咫笹一(やたささいち)」です。「八咫」は、同社のモチーフでもある八咫鏡に由来する名前。山梨県産の酒米を100%使用し、口に含むと透明感のある旨味がゆっくりと広がる、水の綺麗さそのものを味わうような一本です。

酒遊館のカウンターでは、好みの一本をスタッフに相談しながら、おつまみと一緒に試飲できる。

酒遊館のカウンターでは、好みの一本をスタッフに相談しながら、おつまみと一緒に試飲できる。

直売所「酒遊館」で試飲した高瀬真奈さんも、「普段飲んでいるお酒と違って、常温なのに驚くほど飲みやすいです。これは買って帰りたくなります」と笑顔を見せました。

「富士山、南アルプス、八ヶ岳。それぞれの地域に酒蔵があり、水も食文化もまったく違います。山を歩けば塩分が欲しくなり、そこから味噌やほうとうの文化が生まれました。海が遠いからこそマグロの漬けも発達した。山梨の食文化は、すべて山と水から生まれているんです」と天野社長は話します。

旅はまだ始まったばかり。山梨の多彩な食を求めて、次ページでは南アルプスの日本酒と和菓子を訪ねます。

●笹一酒造(ささいちしゅぞう)
山梨県大月市笹子町吉久保26
営業時間:9時30分~18時
TEL:0554-25-2111
URL:https://www.sasaichi.co.jp/

撮影/大見謝星斗

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