ナポレオン一世やポンパドゥール夫人に愛された「モエ・エ・シャンドン」。1743年の創業以来、フランスの歴史とともに歩みながら、シャンパーニュの象徴としての地位を築いてきました。
左より「モエ アンペリアル」は約150種のブレンドから生まれる、果実の純度とフレッシュさ、エレガンスが調和したメゾンの象徴で、“プレタポルテ”の存在。「グラン ヴィンテージ2016」は、その年の気候を映し出しながら、造り手の解釈と表現が際立つ“オートクチュール”のキュヴェ。「コレクション アンペリアル クリエイション No.1」は、複数のヴィンテージを重ね、時間を織りなす芸術的なシャンパーニュ。

その本質は、シャンパーニュ全体の多様性を扱い、それを調和しまとめ上げる力にあります。シャンパーニュのほぼ全域に広がるテロワールと、約5000ヘクタールに及ぶ広大なブドウ畑へのアクセスを背景に、その差異を“選択”ではなく“設計”として捉える点に、このメゾンの独自性があります。
1900年建設、ブドウ畑の危機から再生を導いたモエ・エ・シャンドンの先見が息づく栽培教育拠点。技術と伝統を伝える世界遺産建築フォール・シャブロル。
現在、その中心にいるのが最高醸造責任者ブノワ・ゴエズ氏。彼が手がけるアサンブラージュは、単なるブレンドではなく、多様な要素に意味を与えながら一つのスタイルを構築。さらに、異なる年のワインを重ね合わせ、熟成の進行を見極めながら味わいを整え、瓶詰め後にも時間をおくことで、時の重なりそのものをワインの奥行きとして表現しています。
「毎年変わらぬ美を再現する“プレタポルテ”と、その年ならではの表現を生む“オートクチュール”。その共存を可能にしているのが、モエ・エ・シャンドンです」
最高醸造責任者ブノワ・ゴエズ氏。モンペリエ国立高等農業学校卒業、前任のクーロン氏に招かれた。
また、近年の研究施設「エッセンシア」や最新設備のモン・エギュ醸造所に見られるように、知見を共有しながら、メゾンはその核となる技術を守り続けています。こうして多様性と時間、そして人の知を統合することで、モエ・エ・シャンドンは他に替えがたい存在であり続けています。
地下セラーは創業当初から拡張を続け、現在では総延長28キロ以上、地下10~30メートルの深さに広がる。年間を通じてシャンパーニュの熟成に最適な10~12度に保たれている。2015年、モエ・エ・シャンドンの丘陵・メゾン・セラーはユネスコ世界遺産に登録された。見学ツアーも開催されており、メゾンの歴史や製造工程の説明とともに、ナポレオンから寄贈された大樽や熟成中のボトルが並ぶ壮観な地下セラーを見学できる。写真奥に見えるのは創業280周年記念のダニエル・アーシャムの彫刻。
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