北杜「日本料理 八ヶ岳 えさき」
山梨に心惹かれ移住した日本料理界のレジェンド

標高約1200mの高原、白樺の林と調和する美しい店構え。
古くから文化人・著名人に親しまれてきた別荘地・八ヶ岳の林の中に佇む、まるで宇宙船のような円盤型の一軒家。東京・青山で24年間暖簾を守り、7年連続ミシュラン3つ星獲得という偉業を成し遂げた名匠・江﨑新太郎さんの新しい店。山梨県内のみならず日本全国から美食家が訪れます。

「海のない山梨でこそ、新鮮な魚を食べて欲しくて」と敷地内に生簀を作り、江﨑さん自ら県外へ新鮮な魚介を調達する。写真/久間昌史
もともと甲斐犬をペットとして飼っていた江﨑さんは、そのゆかりの地・山梨でのびのびさせたいという思いから八ヶ岳に別荘を構え、毎週末、東京から車で通っていました。人気店のオーナー料理人として多忙な日々を送る中、一念発起して東京の店をたたみ、山梨・北杜市へ移転したのは2018年のこと。自ら開墾し、約3年かけて夢の住まい兼店舗を完成させます。
ワンオペで切り盛り、料理人としての原点回帰
下ごしらえから調理、接客、掃除にいたるすべてを、江﨑さんは一人でこなしています。「皿洗いや掃除なんて、東京ではもう何十年もやっていなかったなぁ! と新鮮な喜びをかみしめている毎日です(笑)。山梨に店を移すと、東京の店で獲得したミシュランの星は一旦リセットされます。でも、今ここ八ヶ岳で店を持つことで取り戻せた“初心”がある。まさに原点回帰の店となりました」。江﨑さんにとって、八ヶ岳の豊かな自然に囲まれたこの店は、料理人として駆け出した頃のワクワクする気持ちを思い出させてくれる場所だといいます。
春は可愛い花が咲き、夏は涼しく、秋は落葉、冬は静謐な銀世界が広がる八ヶ岳。「どの季節に来ていただいても自然の美しさを楽しめます」と江﨑さん。
八ヶ岳や南アルプス──豊かな水脈に恵まれた土地であることも、江﨑さんにとっては重要でした。「日本料理の要は水といっても過言ではありません。この北杜市には、名水百選に数えられる湧水がいくつもあり、柔らかく口当たりがなめらか。出汁にも、ご飯を炊くのにも理想的なんです」。
今、江﨑さん注目している山梨の食材が米。「にじのきらめき」という、太くて丈の短い稲が台風などの影響を受けにくく、暑さにも強い品種です。「僕は親しみを込めて“にじきら”と呼んでいます(笑)。このたび、“やまなし『にじきら』アンバサダー”に就任させていただきました。コシヒカリがベースになっているので、食感はもっちり、ふっくら。粒が大きくて、冷めても美味しいのが秀逸です。この異常気象にも負けないように、山梨の農家さんが命を懸けて作っているお米です。ぜひ応援したいですね!」(江﨑さん)。
客席と厨房の距離が近いのもこの店の魅力。「東京の店もカウンター式でお客様と対峙できたのですが、コミュニケーションはお見送りが精一杯でした。昼夜各1組限定とした今の店の方が、お客様と会話しながらおもてなしできて楽しいですね」(江﨑さん)。
●日本料理 八ヶ岳 えさき山梨県北杜市大泉町谷戸5771-210
TEL:0551-45-8707
https://esaki-yatsugatake.com/ 韮崎「キュイエット」
山梨を味わいつくす、ブドウ畑の中のガストロノミーレストラン

フルーツ王国と呼ばれる山梨。昼夜の寒暖差が大きく日照時間も長い韮崎では、特にブドウの栽培が盛んに行われている。
富士山、八ヶ岳連峰、南アルプスの甲斐駒ヶ岳と、山梨県の主要な山が一望でき、甲府からのアクセスもいい韮崎。のどかなブドウ畑の中に、まるでフランスの田舎の風景を思わせる可愛らしい一軒家レストランがあります。韮崎産のフルーツをはじめ、八ヶ岳の新鮮野菜やきのこ、山梨の新鮮な肉類や川魚、ジビエを味わえる本格フレンチとして人気を集める名店「キュイエット」です。
ゆったりとした時間と心地よい空間も“ご馳走”
オーナーシェフの山田真治さんは、20代後半にフランス・シャンパーニュ地方にて修業。ブドウ畑の中の古城で食と宿泊を体験できる、いわゆるオステルリー・ドゥ・シャトーで研鑽を積みました。フランス全土のみならず、ヨーロッパ中からファンがやって来る名店で、「そこでは、料理の技術だけでなく、時間や空間の演出、おもてなしの真髄も学びました」と山田さん。いつか自分も故郷の山梨で“ブドウ畑に囲まれたレストラン”を開きたい、という夢を抱いたといいます。
「親しい友人の家に招かれたような気分で、のんびりとくつろいでいただきたい」という思いから、内装、調度品、器選びにもこだわって。窓外にはブドウ畑と山々のパノラマが広がる。
帰国後は東京の一流店などを経て、故郷の山梨で念願の”ブドウ畑の中のレストラン”を開業。山田さんが料理の傍ら毎朝収穫を行い、ピオーネやシャインマスカットを栽培しています。「朝採れのブドウをフレッシュなまま提供するほか、料理に添えるソースやデザートにも使います」(山田さん)。キュイエットという店名の意味は“果実の収穫”。その名が表す通り、フルーツは山田さんのクリエーションに欠かせない素材です。「山梨はフルーツの宝庫。初夏はサクランボにブルーベリー、夏にはモモ、秋を迎えるとブドウ。季節のフルーツとともに料理も移り変わっていくのを楽しんでいただきたいですね」(山田さん)。
軽くスモークして八ヶ岳湧水鱒を小さくカットして、地場野菜の紅くるり大根のスライスのマリネで巻いた目にも鮮やかな前菜。塩漬けした鱒と岩魚、食感の異なる2種類の卵をのせ、口の中で弾ける歯ごたえも楽しい。手前には、山梨のフルーツ農園・矢崎屋ファームから届いた無農薬レモンのコフィチュールを添えて。
山田シェフと、妻でソムリエの紫乃さんが二人三脚でお客様をもてなす。
東京に隣接する県でありながら、豊かな自然に恵まれ、魚や肉、野菜、果物などの食材の宝庫である山梨。特に、山梨のジビエのクオリティはピカイチと山田シェフも太鼓判を押します。「昔ながらの旅館もありますし、最近ではグランピング施設も充実していますから、山梨へはゆっくりと泊まりで来るのがおすすめ。自然はもちろん、料理も春夏秋冬でさまざまに表情を変えますから、季節ごとに山梨へ遊びに来ていただけたら嬉しいです」(紫乃さん)。
●キュイエット山梨県韮崎市穂坂町 三ツ沢1129
TEL:0551-23-1650
https://cueillette.jp/次回は、日本ワイン発祥の地・山梨のワイナリーをめぐる旅をお届けします。どうぞお楽しみに!
※11月公開予定
お問い合わせ
山梨県新事業・地域ブランド課
TEL:055(223)1584
https://hq.pref.yamanashi.jp/