東京・銀座にあるアルテマイスターのアンテナショップ「厨子屋 銀座本店」では、パリでの展覧会「HAKO」のディレクションを務めた緒方慎一郎さんの新作厨子4点を展示しています。日常に寄り添う造形美との出合いを、ぜひこの機会に。
持ち運んでいつもそばに
「携縁(けい よすが)」
無塗装の美しさが生きる
「立縁(たち よすが)」
思い出の写真などを飾っても
「座縁(ざ よすが)」
パリでの展覧会「HAKO」の初回が盛況のうちに幕を下ろした今、厨子屋はその余韻を東京・銀座で静かに伝えています。銀座並木通り沿いにある「厨子屋 銀座本店」1階では、緒方慎一郎さんの手による新作厨子4点(上写真)を展示しています。
「縁(よすが)」と名づけられたこのシリーズには、厨子をモダンな空間になじませる、緒方さんならではの視点が宿ります。
なかでも「掛縁」は、スチール製のフレームに布を巻き、壁に掛けて用いるという斬新な発想によるもの。家を一つの箱に見立て、従来の厨子の在り方を再構築した意欲作です。
また、それ以外の3点も、縞栃や黒柿、桐といった、時間の経過とともに色艶を深める貴重な木材を使用したものばかり。伝統と素材への敬意を礎にしつつ、現代の住空間に美しく調和するインテリア性の高さが魅力です。
これらの厨子に納めるのは、お位牌や仏像に限りません。思い出の写真や懐かしい記憶を呼び起こすような宝物、大切な品々など、何を入れるかは人それぞれ。心の安寧につながる場所を持つこと、それ自体が祈りなのかもしれません。
今を生きる私たちの心の奥に安らかな居場所をもたらしてくれる、新しい祈りのかたちに会いに来ませんか。
2025年6月28日(土)~8月18日(月)
※8月11日(月・祝)~15日(金)は夏季休業
木地づくりから漆塗りまで一貫して自らの手で行う木漆工芸家、十時啓悦(とときあきよし)さんの新作を含む展覧会が、厨子屋 銀座本店地下1階にて開催されます。布目や刷毛目跡などを生かした手仕事ならではの作品群にご注目ください。
厨子屋 銀座本店
東京都中央区銀座1-4-4 ギンザ105ビル1階・地下1階
電話 03(3538)5118
11時~19時
火曜定休
URL:https://www.zushiya.com
撮影/武田正彦 本誌・坂本正行 スタイリング/梶井明美 構成・取材・文/冨部志保子