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【日本画家・千住 博 空海との対話】密教の聖域、高野山金剛峯寺に描く

2021.02.03

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千住 博 空海との対話
根本大塔
空海が高野山の中心に曼荼羅世界を描くべく諸堂を配置したといわれるエリアを壇上伽藍という。金剛峯寺、奥之院と並ぶ高野山の聖地だ。その中央に聳える巨大な塔がこの根本大塔。密教のシンボルともいえる根本大塔の内陣は、大日如来を中心とする立体曼荼羅となっている。

お大師様の生きる奥之院へ


深い森に囲まれた奥之院は空海が永遠の禅定に入ったとされる高野山最奥に位置します。御廟の橋から先は聖域中の聖域。杉木立の奥に拝殿である燈籠堂が立ち、さらにその奥には空海が入定した弘法大師御廟があります。幾多の灯籠が吊り下げられた燈籠堂内部は言葉を発することもためらわれる荘厳な祈りの空間です。


「奥之院はこの世ではないですね。流れる水、一枚の葉までもが、お大師様をお護りするためにそこにあるようです。ここの森はほかのどことも完全に違う。これだけ多くの石塔があり、霊魂が鎮められている森はほかに考えられない。すべてが浄化されていて、何ともいえない冷ややかな空気感に圧倒されます」

千住 博 空海との対話
御廟の橋から先はカメラでの撮影も禁じられている聖域。千住さんの向かう先に見えるのが拝殿となる燈籠堂。弘法大師御廟はその先にある。

千住 博 空海との対話
少しでも空海に近づくべく集まった石塔が所狭しと並ぶ奥之院。参道を歩く千住さん。あたりは鬱蒼とし、神秘的な領域をなしている。

千住さんにとっての空海は、以前から日本文化における作家活動を行っていく以上いつかはきちんと正対しなければいけないと思う存在でした。それは自ら空と海という究極の名前を名乗る人物の思考への関心であり、日本のレオナルド・ダ・ビンチともいわれる空海の薬学から治水まで多岐にわたる業績とクリエイティビティへの敬意だといいます。

「海外生活が長くなり、でも空海の存在が自分の中から消えることはなかった」と千住さんは振り返ります。そんな思いを抱えるうちに得た今回の縁。

千住 博 空海との対話
諸堂が配置された壇上伽藍に立つ角塔婆。

千住 博 空海との対話
奥之院御廟の橋前に並ぶ水向地蔵尊。

空海は宗教的な真理は言葉や書かれた文字では伝えることができないといっています。唐から金剛界曼荼羅、胎蔵曼荼羅を持ち帰り、それをお堂に飾って読経し、お香を焚き、五感を通じて真理に到達できるというのが基本的な考え。だから絵は真言宗の根幹にかかわる重要な要素の一つなのです。

「そこに障屛画を描くとは、われながら恐れ知らずというか、よく描いたものだと思います。そしてきょうからゼロに戻って、命ある限りコツコツと描き続けるんだと、そう思えるようになったのもお大師様の導きなのでしょうね」
撮影/本誌・坂本正行 取材・文/三宅 暁

『家庭画報』2021年2月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。
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