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【日本画家・千住 博 空海との対話】密教の聖域、高野山金剛峯寺に描く

2021.02.03

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千住 博 空海との対話
ニューヨークのアトリエでの制作風景。44面に及ぶ障屏画はすべてニューヨークで制作され、日本に運ばれた。囲炉裏の間に納められる『瀧図』は部屋の落とし掛けの一角だけ構造的に高さがあるので絵も一段高く描かれている。

何かに導かれたように瀧と崖を描いた


制作はニューヨークのアトリエで行われました。部屋の模型をつくり、絵がどう見えるかを綿密に計算し、本画に入る前の下図を繰り返す日々。

「下図は、描いているうちにこれはつまんないなと思って諦めることもありますが、いいと思って描き込みすぎると大きい絵にする意味もなくなる。先が見えたと思ったときに絵って魅力を失うんです。だからレオナルド・ダ・ビンチなどは完成品が非常に少ないんですよね。途中でわかってしまうとそこから先、筆を入れるのに飽きてしまう。だから、これならいけるぞという意識になった時が本画へのGOサインが出る時だと思うんです」


千住 博 空海との対話

千住 博 空海との対話

奉納される部屋の模型を製作し、絵の見え方を緻密に計算しながら、構想を練る。

千住 博 空海との対話
下図を作成しながら、全体の構成が見えた時点で本画に入るのが千住流(以上すべてのNY撮影/千住スタジオ・村上義親)。

さまざまな苦悩と試行錯誤を経て、千住さんは最終的には「何かに導かれたように」崖と瀧を描き始めます。

茶の間は、空海が若き日に山岳修行に明け暮れ、若い僧侶たちが将来直面するさまざまな困難を象徴する崖。そして、その崖の部屋の襖を開けると、清く穏やかな空気の漂う瀧が現れる。そういう二つの装置にしようと。

千住 博 空海との対話
千住さんに障屏画を依頼した高野山真言宗宗務総長の添田隆昭さん。五感で真理に到達する真言密教において、曼荼羅がそうであるように絵は重要なものと語る。障屏画の題材は完全に千住さんに任せた。

障屏画の制作を千住さんに依頼した高野山真言宗宗務総長・添田隆昭さんはこう語ります。

「弘法大師様が若い頃修行をしていた時に山中を歩いていたらどこかから瀧の音が聞こえ、音に引かれて歩いていくと突然巨大な瀧が現れる、その時の驚きを再現している気がいたしました。本当は轟音が鳴り響いているはずなのに静かです。空間がもっている1200年という時間を絵が吸収しているようです」
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