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藤田美術館の名品物語・3月 姿だけでなく、縁ゆえに傳三郎が愛蔵した茶入【動画あり】

2021.02.01

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3月 唐物肩衝茶入 銘 蘆庵




《唐物肩衝茶入(からものかたつきちゃいれ)銘 蘆庵(ろあん)》中国・宋時代(12〜13世紀)サイズ=口径3.7×胴径6×高さ7.1センチ 艶のある飴色に一筋の釉なだれが景色となる茶入。藤田美術館の礎を築いた藤田傳三郎は、長州藩・萩の出身。明治維新で奇兵隊に投じた後に大阪で事業を興し、西南戦争(1877年)で三井・三菱と並ぶ利益を得たという。同時に美術品収集家、数寄者としても名高く、蘆庵、香雪という号を持つ。

選・文=藤田 清(藤田美術館館長)


ある時、道具商が藤田傳三郎のもとに持ち込んだ茶入。聞けば薩摩島津家に伝わっていたものの、西南戦争の戦禍によって、箱や付属品がすべて焼失したという。傳三郎は、自らの号と同じ銘をつけ、箱や仕覆、蓋を整え、終生愛蔵した。

自身が実業界で活躍するきっかけとなった西南戦争。ひとつの茶入とひとりの数寄者を、歴史に残る戦争がめぐり合わせた。

凜とした姿を見て、傳三郎は何を感じたのだろう。

作品のエピソードトーク


動画で藤田 清館長と谷松屋戸田商店の戸田貴士氏による、所蔵作品のエピソードトークをご覧いただけます。

撮影/小野祐次 構成/安藤菜穂子
『家庭画報』2021年03月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。
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