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年を重ねるほどに増す創造性。個展『石岡瑛子 血が、汗が、涙がデザインできるか』

2021.01.21

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〔今月の美術〕
『石岡瑛子 血が、汗が、涙がデザインできるか』

石岡瑛子

石岡瑛子 1983年 Photo by Robert Mapplethorpe ©Robert Mapplethorpe Foundation.Used by permission.

年を重ねるほどに増す創造性


2012年に73歳で没するまで第一線で活躍したアートディレクターでデザイナーの石岡瑛子の個展が開催中だ。


展覧会名の『血が、汗が、涙がデザインできるか』とは石岡の言葉で、感情をデザインするという意味がある。

「端正なデザインの数々からパッションが感じられる」と語るのは、展覧会を企画した東京都現代美術館学芸員の藪前知子さん。「女性が自立して自由を獲得していく生き方を貫いた人でした」。

1960〜70年代には、資生堂やパルコなどの広告デザインを通じて、人種や性別、富の多寡を超えて表れる「美しさ」について問いかけてきた。



ポスター『西洋は東洋を着こなせるか』(パルコ、1979年)アートディレクション 中央は女優のフェイ・ダナウェイ。

1980年代初頭に渡米し、自ら編集した『石岡瑛子 風姿花伝 EIKO by EIKO』を日米で出版。

「出会いを通じて、衣装デザインなどの新しい可能性を開いていくんです」と藪前さん。

フランシス・フォード・コッポラ監督からの依頼で、映画『ドラキュラ』では、深紅のローブで多面的なドラキュラ像を造形化し、アカデミー賞衣装デザイン賞を受賞。

ドラキュラ

映画『ドラキュラ』衣装 展示風景 Photo/Kenji Morita

また、気鋭のターセム・シン監督とは『ザ・セル』から石岡の遺作となった『白雪姫と鏡の女王』まで4作でタッグを組み、マントの布を空間に変化させるなど、現実と夢が交錯する世界を具現化した。

ほかにもオリンピック開会式やオペラの衣装など、体にまとうデザインに挑み続けた。

「若い才能がもてはやされるなか、年齢を重ねてこその創造性もあることを示した石岡さんの姿勢は、今の私たちをも勇気づけてくれると思います」

『石岡瑛子 血が、汗が、涙がデザインできるか』

※最新の情報は、公式サイトでご確認ください。

東京都現代美術館
2021年2月14日まで
休館日:月曜、2021年1月12日(1月11日は開館)
入館料:一般1800円(予約優先チケットもあり)
ハローダイヤル:03(5777)8600
公式URL:www.mot-art-museum.jp
表示価格はすべて税込みです。
構成・文/白坂由里

『家庭画報』2021年2月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。
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