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林 真理子さん×吉沢 亮さん「新しい年、新しい大河への想い」

2020.12.18

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作家 林 真理子さん×俳優 吉沢 亮さん 新しい年、新しい大河への想い
くっきりとした力のある目が印象的な端正なマスク。女性ファッション誌が企画する「国宝級イケメンランキング」で、2018年下半期1位に輝いた。観る者を引き込む演技で、20年はテレビドラマ『半沢直樹』でも存在感を残した。

波瀾万丈の人生を送り、91歳まで生きた道徳の人


 そんな特別なドラマを座長として引っ張っていくわけだから、吉沢さんは精神的にも大変だと思います。


吉沢 怖いですね。今はそんなにプレッシャーはないんですが、放送開始の直前はヤバイいかもしれない(苦笑)。

 視聴率のことも、あれこれいわれるでしょうしね。特に今回は、幕末から近代の話。近代が舞台の大河ドラマは当たらないというジンクスもあるなかで、物語をどう進めていくのかなと思っています。一つの手として、徳川慶喜との友情物語が考えられるなと。

吉沢 そこは結構ガッツリやると思います。前半では、慶喜役の草彅 剛さんとほぼW主演ぐらいの勢いで、二人の関係性が描かれていくので。

 やっぱり! 渋沢栄一は“二心どの”と呼ばれて嫌われていた慶喜を最後まで捨てずに、静岡までついていった人。もし私が渋沢栄一を題材に脚本を書くとしたら、そこが肝かなと思っていたんです。部下に無関心で、側室との間に子どもをたくさんつくって、写真や絵といった趣味に没頭した変わり者の慶喜に、なぜ渋沢栄一がそんなに心を奪われたのか。対談前にお渡しした本『正妻 慶喜と美賀子』を書いたときも、私にはそこがわからなかったので、とても興味があります。撮影はどの辺まで進んでいるんですか?

吉沢 今はまだ深谷で農民をしながら、幕府はどうなっているんだ?と思い始めているところです。並行して、慶喜がいる“江戸パート”も撮影しているので、二つが一緒になったときにどうなるのか楽しみです。それぞれ別の作品かと思うほど雰囲気が違うので。

 面白いつくりですね。ただ私、吉沢さんの農夫姿がうまく想像できない(笑)。ボサボサの髷に汚れた格好?

吉沢 はい。でも藍玉づくりと養蚕をやっている大きな農家で、栄一は家の仕事をしつつ『論語』や剣術も学んでいます。僕は剣道をやっていたので、剣術に生かせるかなと思っていたら、逆に難しいです。剣道の癖が出て、「違う!」と怒られたりしています。

 脚本は、どなたが?

吉沢 連続テレビ小説の『あさが来た』(15年度下半期)を書かれた大森美香さんです。前半と後半ではドラマの雰囲気も変わるとは思うんですが、読んでいると時代を生き抜く栄一のパワーを感じます。大河ドラマで描かれてきた儚い死を迎える戦国のヒーローとは違った、エネルギッシュな人だなと。

 ご自分でも、渋沢栄一に関する本をいろいろ読まれたんですか?

吉沢 撮影前に勉強しておこうと思って、何冊か読みました。渋沢栄一が道徳的な部分を何より大事にしているところに惹かれました。若い頃から“道徳あってこその利益”というようなことを考えていて、その信念を曲げなかったのもカッコいいなと。あとはやっぱり、生きる強さ。尊王攘夷の志士から幕臣になったり、パリ万博の視察に行っている間に大政奉還があったり、結構、波瀾万丈な人生なんです。下手したら死ぬようなタイミングも何度かあったのに、そこをちゃんと生き抜いて、あの時代に91歳まで生きたなんて、半端じゃないなと思います。

作家 林 真理子さん×俳優 吉沢 亮さん 新しい年、新しい大河への想い
爽やかで初春らしい藍色の梅柄のきものは、約30年前に金沢で買い求めた加賀友禅。工芸展出品のために作られたもので、おはしょりにも柄が出る贅沢さ。帯は高知の呉服店で2019年に購入。白のきものに白の帯の合わせが美しい。

「大河ドラマ主演は、年齢をうまく重ねていく
練習にもなると思います」(林さん)


 すごいことですよね。ドラマとしては何歳まで描かれるんですか?

吉沢 それがまだ、はっきりといわれていなくて。

 きっと撮影を終える頃には、吉沢さんの人間的な成長もすごいでしょうね。西郷さんも若い頃に朱子学や陽明学を一通り学んでいて、思想の土台に深い教養があったんだなと感じたんです。それを今、現代人がやろうとすると難しいけれど、大河ドラマの主人公を演じていくなかで、その人が時代をどう捉え、どう生きようとしたかという哲学みたいなものは、身についていくと思いますから。

吉沢 そうできたらいいですよね。一人の人生をここまでじっくり演じること自体、なかなか経験できないことですし。

 私、吉沢さんには年齢をうまく重ねていける俳優さんになっていただきたいなと思っているんです。急に偉そうですけれども(笑)、二枚目の盛りを過ぎた自分とのつきあい方を考えながら、老いを味方につけた俳優さんって、素敵じゃないですか。大河では1年の間にその練習ができますよ。

吉沢 はい。基本的には、いつも心がけているように、台本に書いてあることをしっかり体現していきたいなと。誰かが作ってくれたものを広げるのが俳優の仕事だと思っているので。

作家 林 真理子さん×俳優 吉沢 亮さん 新しい年、新しい大河への想い
『正妻 慶喜と美賀子』上・下
林 真理子 著/講談社文庫
上680円+税、下660円+税
徳川最後の将軍・慶喜の正妻・美賀子など、女性の視点から見た新たな幕末の物語。慶喜の寵臣といわれた渋沢栄一も登場。
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