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菊乃井・村田吉弘【日本のこころ、和食のこころ】十二月 歳暮 

2017.12.01

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乾物をもどすことからはじまる正月料理

京都は海が遠く、新鮮な魚介はなかなか手に入らんかったし、昔は冷蔵庫なんかもなかったから、お正月料理は特に保存性があることが大事やった。畢竟、乾物を上手に取り入れることが多なったんやな。棒だら、身欠きにしん、干し数の子、それに黒豆。みんな乾物。これを仕上げる日時をそれぞれ逆算してもどし始めます。

菊乃井 村田吉弘 和食のこころ
お正月料理用の乾物は十二月十三日の事始め以降、頃合いを見てもどし始める。右上から時計回りに黒豆、お正月飾りに欠かせない神馬草(じんばそう)、干しだら、干し数の子、身欠きにしん。特に干し数の子は生産量が激減しているが、独特の食感とうまみで塩数の子とは一線を画した味わい。


お正月料理に欠かせないのは、まずは数の子ですね。僕の子どもの頃はそら、山のようにもどしました。「手ぇつけたら、あかん、触ったらあかん」と口うるさくいわれたもんです。その頃は干し数の子より田作りのほうが高かったし、お正月が過ぎたら従業員らのおかずに なってましたね。

にしんかてようけとれてましたから、畑の肥料になったりしてました。今は、にしんはアメリカ産がほとんどやし、干し数の子なんか、ほとんどお目にかかれません。うちの母は「そら、干し数の子は違いまっせ。歯ざわりが違うんや」と、おせちの仕込みの頃になるとよういいます。僕も久しぶりに食べてみたら、やっぱりおいしい。独特のむちっとしたグミのような歯ざわり、雑味のないほんまのうまみ。そやけど、圧倒的に数が少ないから流通にはのらないし、価格も高い。こういうもんは作るのも手間、料理するのも手間。おまけに高うつくし、いらんやん。といってしまえば簡単なんですが、本当はこういったものこそ残していかなあかんのやと思いますし、それが文化なのではないでしょうか。

棒だらかてそうです。昔はどこの家でもお正月の煮物といえばいも(海老いも)と棒だらの炊いたん。今では作るお家もめっきり減りましたね。昔は錦市場に行けばお正月に必要なもんは全部手に入りました。主婦は師走のしかるべきときに買い出しに行ってお正月料理を仕込んだものです。
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