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iPS細胞の医療への応用で「未来の医療」はどう変わる?

2020.11.13

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世界初のiPS細胞由来の細胞治療の治験が進行中


脳外科医である髙橋さんは、2018年、世界に先駆けて、iPS細胞から分化させた神経細胞によるパーキンソン病の細胞治療の治験を始めました。

パーキンソン病は、脳の中脳の黒質にあるドパミン神経細胞が変性して減少し、運動に支障が出る病気です。

手足が震える、手足や体幹部がこわばる、動作が遅くなる、姿勢を保てないなどの症状が出ます。自律神経や睡眠、認知機能などに支障が出ることもあります。


高齢者において比較的発症頻度の高い病気で、進行すると介護が必要となることもあり、国の指定難病にもなっています。

主に薬物療法で治療しますが、効果がない場合、症状を起こす脳深部を電気で刺激したり、超音波で加熱して壊死させたりする手術が行われています。これらの治療を経てもなお完治は難しいのが現状です。

髙橋さんによると、細胞治療には大きく分けて2通りあります。

患部に移植した細胞がそこで長い間生着して、その臓器の細胞として働くことを目的とする治療と、移植した細胞はその臓器に生着はしないものの、その細胞が出す物質が炎症を抑えたり、もとの臓器の細胞を保護したりすることを目的とする治療です。

「例えば、血管が詰まった部分などでは体が自然に治そうとする力が働きます。後者はその治りを助けるための細胞治療で、薬のような使い方といえます」と髙橋さん。

髙橋さんらが目指すのは前者の臓器の細胞の生着です。

パーキンソン病に取り組んだのは、患部を特定しやすく、ターゲットの細胞が明確で、これまで欧米などで行われてきた妊娠中絶された胎児の中脳組織を用いた移植治療の臨床データがあることに加え、「移植に使うドパミン神経細胞になる前の段階の細胞(前駆細胞)をiPS細胞から作れる可能性が高かったからです」と髙橋さん。

「ドパミン神経前駆細胞のようなヒトの発生の初期にできる神経細胞は、iPS細胞か受精卵の胚盤胞の段階まで発生した胚から分離した胚性幹細胞(ES細胞:embryonic stem cell)からしか作れないのです。なお、胎児からの細胞採取は倫理的な問題があり、数を集めるのが難しいため一般的な治療にはなっていません」。

10年以上の研究を通じて、髙橋さんらは実際にドパミン神経前駆細胞をiPS細胞から作製し、サルを使った研究などから移植しても腫瘍ができないことを確認しました。また、細胞を選り分ける方法や細胞の生着をよくする方法も開発しました。

iPS細胞から分化させたドパミン神経前駆細胞の脳への移植手術

※1 あらかじめコンピューターで大脳の被殻の位置を計算し、頭部を固定して頭蓋骨に小さく穴を開け、ドパミン神経前駆細胞を注入する。その後、患者は免疫抑制剤を服用する。50歳以上70歳未満、診断後5年以上、MRI(磁気共鳴画像)で病変が認められる、認知症のリスクが低いなど一定の条件を満たす患者7名がこの治験に参加している。

そして、今回の治験では、薬や手術の効果が薄い患者7名に対し、約500万個のドパミン神経前駆細胞を大脳の被殻に注入して、2年間、定期的に検査をしながらの経過観察を行っています。

「サルでの研究結果や胎児細胞移植の400例以上のデータなどから、500万個あれば10万個ほどがドパミン神経細胞になると予想しています。この数については、移植の安全性とともに今後検討する予定です」。
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