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がんになった医療者の治療選択と向き合い方。看護師 射場典子さん 第1回(前編)

2017.12.01

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看護師が卵巣がんになった場合

閉経後の中高年女性に好発する卵巣がんは発症が多いものではありませんが、早期で発見しにくいため“サイレントキラー”とも呼ばれるやっかいながんの一つです。今月からこの卵巣がんを40代で患い、治療に苦しんでいるとき、患者の語りに支えられて新たな道を歩きだした看護師の物語をお届けします。

射場典子さん

認定NPO法人 健康と病いの語りディペックス・ジャパン 理事

射場典子(いば・のりこ)さん 54歳



1963年東京都武蔵野市生まれ。84年順天堂看護専門学校卒業。
同年、順天堂大学医学部附属順天堂医院に就職し外科病棟に配属される。
米国留学を経てターミナルケアを学ぶために聖路加看護大学大学院に進学。
大学院修了後、同大学教員として教鞭をとる中、2006年に卵巣がんを発症。
患者の語りをデータベース化し社会資源として活用するプロジェクト「ディペックス・ジャパン」の設立に治療中からかかわり、08年より現職。
経過観察を続けていた卵巣がんは発症から10年を過ぎたことで無治療に。
看護師とがん患者の経験を生かし「患者主体の医療」の実現に力を注ぐ。

射場典子さん がん治療の経過①


2006年 2月:卵巣が破裂しがんが見つかる
仕事中に激しい下腹痛に襲われ、救急外来を受診。直径14センチの卵巣がんが腹腔内で破裂していたことがわかる。翌日、緊急手術を受け、腫瘍とともに卵巣や子宮などを摘出する。

2006年 3月:手術後に抗がん剤治療を開始
手術時の腹腔内観察、摘出した腫瘍の病理検査の結果、ステージⅠC期と診断。主治医や医師である夫の強いすすめもあり、再発予防を目的に6クールの抗がん剤治療を開始する。

2006年 4月:抗がん剤の副作用に悩まされる
吐き気、脱毛、しびれ、全身劵怠感などの副作用に悩まされる。副作用への対処とともに治療の合間に家族と小旅行に出かけるなど気分転換を図りながら抗がん剤治療を続ける。

2006月 9月:看護大学の教員職に復帰する
8月に抗がん剤治療を終え、翌月から職場に復帰。リハビリを兼ねてデスクワークから始めたが、集中力が続かず体力も消耗し以前のように仕事ができなくなったことに苦しむ。

2007年 3月:復帰半年後に看護大学を退職
心身ともに仕事を続けることは難しいと判断。再発リスクの高い期間は休養をとり、体調管理を優先することを選択し、退職する。

2007年 8月:ホルモン補充療法を開始する
精神的に不安定になった要因には卵巣を摘出したことによる卵巣欠落症状があることに気づき、ホルモン補充療法を開始する。漢方薬も併用し気持ちがかなり前向きになる。
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