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津村記久子さん『サキの忘れ物』。著者のユーモアのセンスが光る9つの短編集

2020.10.14

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〔今月の本〕

『サキの忘れ物』


『サキの忘れ物』

津村記久子 著/新潮社

ドラマ化された『この世にたやすい仕事はない』をはじめ、仕事や職場をモチーフにした作品で知られる津村記久子さんの短編集。


働いている喫茶店でお客さんが忘れた本を手にしたことで、それまで本を読み終えたことのなかった主人公に生じた変化にささやかな希望を感じる表題作。

上司へのねじ曲がった抗議として、会社のロッカールームの窓から隣接するビルに侵入した主人公の行動力に胸がすく「隣のビル」。

作品の冒頭で説明されるように、番号の選択次第で話の展開が変わる圧巻のゲームブック形式読み物「真夜中をさまようゲームブック」。

テイストは異なるものの、9つの短編に通底するユーモアに著者のセンスが光る。
『家庭画報』2020年10月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。
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