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【対談】中村桂子さん×松岡修造さん「地球上の生きものの祖先は1つ。ともに生きる世の中に」

2020.09.23

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願いは、みんなが楽しく暮らせる社会をつくること


松岡 最後にお尋ねします。先生が生きものとしていちばん大事にされていることは何ですか。

中村 本当に自分が納得できる社会を子どもたちに渡すことです。私が小学校4年生のとき、日本は敗戦国となり、食べるものがない生活を送りました。食べたくても、日本中が食糧難だったんですね。

ですから、私はこれからの人たちに決して戦争が起こることのない社会、みんながおいしいものを食べられて、楽しく暮らせる社会を渡したい。そう願いながら、ずっと生きてきました。


松岡 日本は世界でも数少ない、戦争をしないことを宣言している国です。そして終戦から75年、戦争をしていません。

中村 それがここ数年、心配な状況にありますよね。でも、戦争はしないと決めたんですから、守らなければなりません。それは声を大にしていいたいです。

「自分が納得できる社会を子どもたちに渡したい。今のままでは渡せません」──中村さん


中村 私は同時に、不登校や虐待など、子どもたちがつらい思いをする話が増えていることにも胸を痛めています。日本は物質的には豊かになったのに、どこかおかしくなってしまったと感じています。

ですから、今のままの社会では渡せない。子どもたちに喜んで受け継いでもらえる社会にしてから渡したい。そのためにこれからも発信していきます。

松岡 素晴らしいです。先生、地球の生きもののため、あと100年は生きてください。

中村 そんな!(笑)私は生物学者ですから、寿命というものを知っているんですよ。

松岡 ではせめて、先生が納得する社会に変わるまで、ぜひお元気でいらしてください。

中村桂子さんより~
対談を終えて


中村さんと松岡さん

対談場所は眺めのいい宴会場の一角。テーブルに感染予防のパーティションを設置して行いました。

松岡さんが、普段はまったく関係のないでしょう「生命誌」について、あらかじめ資料に触れ、理解なさったうえで対談に臨んでいらっしゃることがよくわかり、素晴らしいかただと思いました。

それにお応えしなければいけないという気持ちになり、熱が入ってしまいました。相手をそのような気持ちにさせるかたなのかなと、帰宅後そんなことを考えました。

対談をしている間は本当に楽しかったです。オリンピックは、難しい問題をたくさん抱えています。

この時期にやってよかったという形を工夫し、世界に発信できると日本が評価されると思いますので、松岡さんのようなかたが、具体的な提案をなさってくださることを期待しています。

●「自分を大事にすることは、みんなを大事にすること」―理学博士・中村桂子さん

修造エール

生きものや命のことをいつも考えていらっしゃる中村先生。「死」についてのお考えを伺ってみたところ、「私はのんびり屋で、先のことは考えないんです。過去のことも」とのお返事。

続いて、「今がいちばん好き」と2度力強く繰り返して、「今何しよう、今大事なことは何だろうと考えるのが好きなんです」と教えてくださいました。

先生は人間のあり方に危機感を持っていて、50年間警鐘を鳴らし続けておられます。それはきっともどかしく、無力感を覚えることもあると思うのですが、ご本人は生き生きとして、お幸せそう。

「今このとき」を大事に、毎日を楽しんでいらっしゃるからではないかと思います。幸せに生きるヒントを教えていただきました。

修造画報
「修造画報」心のコラム一覧

第1回「オリンピックを“自分ピック”に!」

第2回「2020年、日本のスポーツ文化は変わります!」

第3回「選手を知れば知るほど、応援は楽しくなる!」

第4回「開会式は日本が総力を結集してつくる壮大な舞台。必見です!」

第5回「大会の成功はボランティアの笑顔にかかっています!」

第6回「オリンピックの選手村はこんなに楽しい!」

第7回「パラリンピックはすべての試合に大きな感動があります!」

第8回「ラグビーワールドカップ2019が教えてくれたこと」

第9回「男子マラソン・中村匠吾選手、服部勇馬選手にエールを送ります!」

第10回「挑励(チョレイ)!卓球男子代表に内定した張本智和選手が苦悩の末に取り戻した自信」

第11回「目指すは金メダル。卓球女子日本代表は強いです!」

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第13回「一体感がいい!新しい国立競技場に立って感じたこと」

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松岡 修造 SHUZO MATSUOKA
1967年東京都生まれ。86年にプロテニス選手に。95年ウィンブルドンでベスト8入りを果たすなど世界で活躍。現在は日本テニス協会理事兼強化本部副本部長としてジュニア選手の育成とテニス界の発展に尽力する一方、テレビ朝日『報道ステーション』、同『TOKYO応援宣言』、フジテレビ『くいしん坊!万才』などに出演中。近著に『ネガティブが人を強くする! 修造流 脳内変換術』。東京2020オリンピック日本代表選手団公式応援団長。公式サイト>>
撮影/鍋島徳恭 スタイリング/中原正登〈FOURTEEN〉(松岡さん) ヘア&メイク/大和田一美〈APREA〉(中村さん)、井草真理子〈APREA〉(松岡さん) 取材・文/清水千佳子 撮影協力/ホテル椿山荘東京

『家庭画報』2020年10月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。
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