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肺がん治療の新しい選択肢「免疫チェックポイント阻害薬」とは?

2017.11.17

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非小細胞肺がんの薬の使い分けには遺伝子やたんぱくの検査の結果を用います。採取した肺がん組織を用いてEGFRやALK、ROS1などいわゆるドライバー遺伝子を調べ、異常が見つかったら、まずそれぞれに対する分子標的薬で治療します。

近畿大学医学部呼吸器外科教授で日本肺癌学会理事長の光冨徹哉さんは「ドライバー遺伝子変異のない患者さん(腺がんの約4割とほとんどの扁平上皮がん)では組織を染色し、PD-L1が50%以上のがん細胞で発現していればペムブロリズマブを使います(約3割の患者さん)。50%未満なら従来の抗がん剤治療を行います。また、抗がん剤の後も一定の基準のもとにニボルマブ、ペムブロリズマブを使えます。ただ全員に効果があるのではないことは知っておかねばなりません」と説明します。

一般の抗がん剤に比べ、免疫チェックポイント阻害薬の副作用は概して軽い一方で、がんに対する免疫を増強しているために、頻度は高くないものの、正常な臓器への攻撃を誘発することがあります(自己免疫反応)。この反応は甲状腺、下垂体、副腎、皮膚、腸、肝臓などに比較的多い傾向があります。そのほか神経や筋肉の炎症、間質性肺炎、重症の糖尿病などが起こる例もあります。


「副作用が多彩であること、また治療開始後1年以上経ってから副作用が出る例もあることから注意が必要です。投与を受けている患者さんやご家族は、少し元気がない程度も含めて変わったことがあれば、主治医に時を移さずに相談することが大切です。治療においては高度の知識と経験が必要で、厚労省はこの薬を使える医師や施設の要件を定めています。全国のがん診療連携拠点病院であればまず大丈夫と思われます」(光冨さん)。

光冨徹哉さん



近畿大学医学部 呼吸器外科 教授

近畿大学医学部附属病院
大阪府大阪狭山市 大野東377-2
072(366)0221(代表)
http://www.med.kindai.ac.jp/huzoku/
取材・文/小島あゆみ 撮影/八田政玄 イラスト/イチカワエリ 医学の記事は毎週金曜更新です。
「家庭画報」2017年12月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。
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