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きものの文様【夏の植物】涼やかに装いたい、葦(あし)・酸漿(ほおずき)・百合・芭蕉(ばしょう)

2020.06.21

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きものの文様 きものに施された美しい「文様」。そこからは、季節の移ろいを敏感に取り入れてきた日本人の感性や、古来の社会のしきたりを読み解くことができます。夏の文様を中心に、通年楽しめるものや格の高い文様まで、きもの好きなら一度は見たことのある文様のいわれやコーディネート例を、短期集中連載で毎日お届けします。記事一覧はこちら

今日の文様21
夏の植物


四季のはっきりしている日本では、古くから四季折々に咲く植物や草木がきものや帯の文様に取り入れられてきました。大正以降は西洋の花も加わって、きものや帯の文様は一層華やかさを増します。

夏の装いで軽やかに楽しみたい、4種の植物の文様をご紹介します。

葦(あし)





水辺に生息し、芒(すすき)に似た植物である葦の文様は、古くから親しまれてきました。音が「悪し」に通ずることから、別名を「葭(よし)」といいます。千鳥や波、舟(舟の文様の記事はこちら)、白鷺(さぎ)などとともに文様化されています。葦と雁(かり)を合わせた葦雁(あしかり)文も。

【向く季節】


酸漿(ほおずき)




毎年初夏には日本各地でほおずき市が開かれ、お盆には現代も酸漿の果実を枝つきで精霊棚(せいれいだな)に飾り、死者の霊を導く提灯(ちょうちん)に見立てます。写真の夏帯は、赤い皮が網目状に透けて、赤い実が見える様子を描いたものです。

【向く季節】
夏、秋


百合(ゆり)




キリスト教では白百合を聖花として、聖母マリアに捧げる習慣があります。日本でも『古事記』などに百合にまつわる物語が見られ、『万葉集』にも多く詠まれてきました。現在もきものや帯の文様として、写実的に描いたものが目立ちます。

【向く季節】


芭蕉(ばしょう)




沖縄地方の一部で栽培されている糸芭蕉は、高さ4mにもなります。形のよい大きな葉が好まれて、紅型や夏帯などの文様に使われます。芭蕉布(ばしょうふ)とは、糸芭蕉の繊維で織った夏の織物です。

【向く季節】


「#きものの文様」記事一覧はこちら

きものの文様

今回ご紹介した文様を含め、300以上もの文様を掲載。文様の歴史や意味が豊富な写真によってよくわかり、体系的に勉強することができます。きものを着る場合判断に迷う格と季節が表示され、こんな場所にお出かけできます、とのコーディネート例も紹介しています。見ているだけで楽しく役に立つ1冊。
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