人生の一瞬一瞬、その断片が積み重なるように描かれた長編小説。江國香織『 去年（こぞ）の雪』

『 去年（こぞ）の雪』

江國香織 著／角川書店　1600円

バイクの事故で亡くなった男。夢に現れた男の霊＝“もののけ”に不安を覚え、兄の助言に従い祈禱師を呼んで、寺に鏡を奉納する平安時代の女性。


棚いっぱいにトイレットペーパーをストックする妻に暗澹たる気持ちになる夫。スーパーを出ると、買っていないはずのトイレットペーパーが手もとにあることに不審を抱く女性。

結婚する人、離婚する人。生まれた人、死んでゆく人......。

100人を超える人物が次から次へと立ち現れ、ときに時空を超えてつながってゆく──それぞれの人生の一瞬一瞬、その断片が積み重なるように描かれた長編小説。

人の気持ちや生活、その細部の描写から浮き彫りになる個々の姿が印象に残る。

●作家 江國香織さんへのインタビューを読む
江國香織さんの最新作『去年（こぞ）の雪』。不思議な読後感を残す物語はこうして生まれた
“現実よりも言葉を信じている”。江國香織さんにとって、小説を書くこととは？

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