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孤高の画家が描き続けたプロヴァンスの花「ゴッホ展 巡りゆく日本の夢」

2017.11.22

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日本を夢見たファン・ゴッホ、そしてファン・ゴッホに憧れた日本


今回のゴッホ展は、「日本の夢を見たゴッホ」だけで終わりません。ファン・ゴッホの没後、今度はファン・ゴッホに憧れた多くの日本人がファン・ゴッホが眠るパリ郊外のオーヴェールを訪れているのです。


「オリーヴ園」(1889年)。サン・レミの療養所で描いた作品だが、うねるような幹の筆致は心を病んでいたとは思えないほど力強い。クレラー=ミュラー美術館蔵。©Kröller-Müller Museum,Otterlo

きっかけとなったのが、1910年に刊行された文芸雑誌『白樺』でした。小説家の武者小路実篤(むしゃのこうじさねあつ)や画家の斎藤與里や岸田劉生、美術史家の児島喜久雄ら「白樺派」及びその周辺の人たちが、ファン・ゴッホの作品や生涯を熱心に紹介しています。熱狂の渦は徐々に広がり、大正から昭和初期にかけて、少なからぬ日本人が「オーヴェール巡礼」をしています。



数年前にプロヴァンスに取材で行った際に訪ねたサン・レミの療養所には、いまでもファン・ゴッホが描いたオリーブ畑が残されていた。ファン・ゴッホがよくモチーフにしていた糸杉もこの療養所にある。写真/横田秀樹

その足跡は『芳名録』としてファン・ゴッホの最後を看取った医師、ポール=フェルディナン・ガシェの家に残されています。ガシェはすでに亡くなっていましたが、彼の家にはファン・ゴッホの作品が多く残され、家族によって大切に守られていたそうです。ゴッホ展ではその『芳名録』の展示もあり、ファン・ゴッホに憧れた日本人たちの熱い気持ちが残されています。


数年前に筆者がアルルを訪ねた7月、郊外のヒマワリ畑は満開だった。ファン・ゴッホはこのヒマワリを摘んだと思っていたが、じつはファン・ゴッホがアルルで暮らした時代にはまだこの畑はなかったそう。今回のゴッホ展での展示はないが、名作《ひまわり》は家庭の庭の片隅に咲いている、私たちにも身近な存在のヒマワリを描いたもの。写真/横田秀樹

「巡りゆく夢」、ファン・ゴッホと日本が紡いだ絆が、いまの時代もずっとつながっている。その軌跡を実際に作品を鑑賞することで感じてみてください。

Information

ゴッホ展 巡りゆく日本の夢

  • ■ゴッホ展特別WEBサイト/http://gogh-japan.jp

    【東京展】東京都美術館

    ■期間/〜2018年1月8日 ■所在地/東京都台東区上野公園8-36 ■アクセス/JR上野駅「公園口」より徒歩7分 ■閲覧料/大人1600円 ■開室時間/9時30分〜17時30分 開催中の金曜は20時まで(入場は閉室の30分前まで) ■休室日/月曜 (1月8日を除く)、12月31日、1月1日 ■お問い合わせ/ハローダイヤル03-5777-8600 ■会場ホームページ/http://www.tobikan.jp

    【京都展】京都国立近代美術館

    ■期間/1月20日〜3月4日 ■所在地/京都府京都市左京区岡崎円勝寺町 ■アクセス/JR「京都駅」前から市バス(5番・岩倉行、100番・銀閣寺行)で「岡崎公園 美術館 平安神宮」下車。 ■閲覧料/大人1500円(前売りは1300円) ■開室時間/9時30分〜17時 開催中の金曜・土曜は20時まで(入館は閉室の30分前まで) ■休室日/月曜 (2月12日を除く)、2月13日 ■お問い合わせ/電話075-761-4111 ■会場ホームページ/http://www.momak.go.jp

高梨さゆみ/Sayumi Takanashi

ガーデニングエディター
イギリス訪問時にガーデニングの魅力に触れて以来、雑誌や本などで家庭の小さな庭やベランダでも楽しめるガーデニングのノウハウを紹介。日本、イギリスの庭を訪ね歩くほか、植物の生産現場でも取材を重ねる。現在は、種苗会社の会員向け月刊誌のほか、園芸雑誌などの編集に携わる。
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