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正しく知って適切に対応する。新型コロナウイルス感染症の特徴や気をつけるべきこと

2020.05.20

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新型コロナウイルス感染症 正しく知って正しく怖がる 第1回(全3回) 世界的に猛威を振るう新型コロナウイルス感染症。大量の情報が飛び交う中で正しい情報を得て、適切に振舞うことが誰もに求められています。この感染症の特徴、感染や症状悪化を遠ざけられる日常の工夫について専門家に教えてもらいます。 *2020年3月31日現在の情報をもとに記載しています。『家庭画報』2020年6月号掲載。この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。

第1回【知識編】
多くは軽症だが、一部は急激に悪化して致命的に


新型コロナウイルスの日本での感染が始まった当初から最前線で患者の診療を担う国立国際医療研究センター 国際感染症センター センター長の大曲貴夫先生に新型コロナウイルスとその感染症の特徴、感染予防で気をつけるべきことなどについて、疑問に答えていただきました。

Q.新型コロナウイルスやその感染症にはどのような特徴がありますか。


A.この新型コロナウイルスが出現する前に、人に感染するコロナウイルスは6種類ありました。そのうち4つは普通の風邪の原因ウイルス、残り2つは病原性の強いSARS(重症急性呼吸器症候群)ウイルスとMERS(中東呼吸器症候群)ウイルスです。


今回のウイルスは7番目のコロナウイルスで、今まで誰も免疫を持っていなかったために感染が流行しています。

この新型コロナウイルスの特徴は症状の出方の幅が広いこと。無症状あるいは軽い風邪症状の人が多い一方で、一部の感染者は短時間で急速に肺炎が悪化します。また、軽症者でも肺炎が見られるのもこれまでのコロナウイルスにはない点です。

日本のデータでは感染者の8割がほかの人に感染させておらず、2割が感染を広げています。また、症状の強さと感染力はあまり関連がなく、海外では無症状と症状のある人では感染させる率は変わらないことが明らかになってきました。

Q.高齢者や持病のある人が重症化しやすい背景は?


A.一般的にどんな感染症でも高齢者は重症化しやすいですよね。それはこの新型コロナウイルス感染症でも同じことです。

感染自体は子どもにも広がっていることは間違いなく、欧米からは持病のない10代の死亡例も報告され始めました。

持病については、中国の論文では、心血管疾患、糖尿病、高血圧、慢性閉塞性肺疾患(COPD)のような慢性呼吸器疾患、がんの患者さんなどが持病のない人に比べて死亡率が高いと報告されています。

心血管疾患や慢性呼吸器疾患は呼吸機能に直接関係しますから、危険です。糖尿病の人は免疫が低くなる傾向があることが知られていて、それと関係があるのかもしれません。

高血圧との関連では降圧剤のアンジオテンシン2(ACE2)阻害薬によって、細胞の表面に増えるACE2レセプターがウイルスを細胞に入りやすくするという仮説があります。

このレセプターは喫煙者でも増えます。喫煙者はもともと肺を痛めつけていますが、この感染症でも重症化しやすいことがわかっており、ACE2レセプターも関係しているのかもしれません。

がん患者さんでは過去に治療を受けていた人も持病のない人よりも死亡率が高くなるとされます。

いずれにしても持病のある人は年齢を問わず感染に注意していただきたいですね。

慢性疾患では電話診療で薬の処方ができ、薬の処方日数を長くできる場合もあります。心配事はかかりつけ医にまずは電話するといいと思います。
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