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あじさいに降り注ぐ雨音と、ときどき雨蛙【残したい日本の音風景・6月】文/細野晴臣

2020.04.28

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6月 太平山あじさい坂




文/細野晴臣

虫や爬虫類などの形態は苦手な方だが、部屋にさえいなければ大歓迎だ。特にその鳴き声は心の薬になるほど大好きである。


都心では昔から蛙の合唱は聞くことはできなかったが、子供の頃から夏休みに行く海や山では心ゆくまで堪能していた。

寝ながら聞こえてくる合唱の持続音が瞑想状態に導いてくれる。

日本に住んでいて一番好きな音は?と聞かれれば、この蛙の鳴き声だと迷いもなく言える。時々無性に聞きたくなるので夏の旅が待ち遠しい。

かつてバリ島の密林に宿泊した時、日本の蛙とは異なる密度の濃い音に圧倒された。全ての生き物がひと晩中鳴き続けるのだ。それに比べ、日本の蛙はなんと優しい音色だろう。

ここに紹介されている栃木の太平山は雨蛙が有名だという。しかし生態系の変化で数が減っているのだ。雨が降ったら是非行ってみたい場所である。



上のバナーをクリックすると、実際の音を聴くことができます。

細野晴臣(ほその・はるおみ)



音楽家

1947年東京生まれ。1969年「エイプリル・フール」でデビュー。1970年「はっぴいえんど」結成。73年ソロ活動を開始、同時に「ティン・パン・アレー」としても活動。78年「イエロー・マジック・オーケストラ(YMO)」を結成、歌謡界での楽曲提供を手掛けプロデューサー、レーベル主宰者としても活動。YMO散開後は、ワールドミュージック、アンビエント、エレクトロニカを探求、作曲・プロデュースなど多岐にわたり活動。
公式サイト www.hosonoharuomi.jp
出典・音響提供/環境省「残したい“日本の音風景100選”」 写真上/小川秀一〈アイノア〉 写真下/鎌形 久〈アイノア〉

※こちらの音は、公益社団法人日本騒音制御工学会ホームページ「日本の音風景100選/サウンドライブラリ」からも聴くことができます。

『家庭画報』2020年6月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。
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