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東京2020パラリンピックのメダルを手がけた、デザイナー松本早紀子さんにインタビュー

2020.06.17

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メダル


©Tokyo 2020 扇をモチーフにした東京2020パラリンピックメダルの表面。直径85ミリ、厚み最大10.7ミリ。全国で集められた使用ずみ携帯電話等から抽出した金属が使われています。

扇の要を主役の選手に見立ててデザインを考案


松岡 扇のデザインにされたのはなぜですか。

松本 メダルのデザインを考えるうえで、3つのことを大切にしていたのですが、そのすべてを満たすのが扇だったんです。


3つというのは、日本らしさ、誰もが楽しめること、選手を主役にしたものにすること、です。まず富士山や桜といった日本らしいモチーフを書き出して、1つ1つ深掘りしていきました。その1つとして扇のことを調べていたとき、扇の骨を束ねる金具を“要(かなめ)”と呼ぶことを知って、扇をパラリンピック、選手を要ととらえたらいいのではと思いついたんです。

選手たちが人々の気持ちを束ねて、自分の熱量で世界に新しい風を吹かせる。そんなイメージが湧いてきて、扇でいこうと決めました。

松岡 なるほど、それで扇なんですね。裏面の自然をモチーフにしたデザインには、どんな意味が込められているのですか。

「応援する人たちの熱量を生命力溢れる日本の自然で表現しました」──松本さん


松本 応援する人たちの熱量を、生命力溢れる日本の自然で表現してみました。

視覚障がい者のかたにも伝わるように、自分で撮った写真をもとに岩、花、木、葉、水を写実的に表現して、手触りも1つ1つ変えました。岩ならごつごつとした表面にするなど、それぞれのイメージに近づけています。

東京2020メダル裏面

©Tokyo 2020 裏面には岩、花、木、葉、水が写実的に表現されています。

松岡 自然を表現したのはとてもいいアイディアですね。パラリンピックの選手のみなさんは、競技の前にまず、自分の障がいとの闘いがあります。

それは自然と同じように、変えたいと願ってなかなか変えられるものではありません。そういう障がいを受け入れて前に進んできた選手たちに、自然のモチーフはぴったりだと思います。

松本 ありがとうございます。

触れてわかることを大事に金属を加工


松本 金属の加工については、私に経験がなかったので、最終審査通過後、宮田(亮平文化庁)長官や造幣局のかたから「少し燻すとデザインが際立ち劣化しにくい」といった助言をいただきました。

メダルの側面に金銀銅で異なる数の穴があって、触れただけで種類がわかるという工夫も、1人では考えつきませんでした。

「金属に詳しくなかったから、自由な発想でデザインできたのだと思います」── 松岡さん


松岡 宮田長官は金工作家でいらっしゃいますからね。早紀子さんは詳しくなくてよかったと思いますよ。だからこそ、自由な発想でデザインできたのだと思います。

松本 みなさんのおかげで自分が想像していた以上に素晴らしいものになったと感謝しています。今回のメダルは全国で回収された使用ずみの携帯電話などから取り出した金属が使われていますが、ニュースを見ていたら、ご家族の遺品を提供されたかたがいらしたんですね。

亡くなられたそのご家族も東京2020大会をすごく楽しみにされていたそうで、遺品をメダルの一部にしたいと話されていました。メダルにそういうかたがたの思いも詰まっていると思うと感無量です。
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