きものダイアリー

その数なんと16万粒!手仕事で生まれる美しい「絞り」

2020.04.17

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可愛い名のごとし! かぶせて絞る「帽子絞り」


帽子絞りは、裏に仕込む芯によってさまざまな大きさを表現することができます。

寺田「では次の絞りに参りましょう。この絞りは何かご存知ですか」

絞りであることはわかるのですが……。



帽子絞りはビニールをかぶせて絞る技法。ちなみに手前の小さなつぶつぶが本疋田絞りです。

寺田「これは、帽子絞りといいます。まず、布をつまんで木綿糸で括ります。さらにその部分が染まらないようビニールを帽子のようにかぶせて麻糸で括ります。

小帽子、中帽子、大帽子とあり、小帽子は裏側に芯を入れません。芯を入れるのは中帽子と大帽子です。ほら、裏を見るとわかりますよ」

裏側です。中帽子と大帽子は中に芯を入れて括ります。芯の素材はプラスチックがほとんどですが、昔は竹の棒やきつく丸めた紙を使っていたそうです。

どうして芯を入れるのですか?

寺田「芯を入れることで、染料が入らないようにしています。大きな面積を絞る場合、芯を入れずにつまむだけだと、糸をきつく括ったつもりでも、隙間ができて中に色が染み込んでしまいます」

これもまた職人さんが異なるのでしょうか?

寺田「はい。中には同じ職人さんが手がけることもありますが、基本的には大中小と職人さんが違います。ちなみに鹿の子絞り以外は括るのに力を要するので男性の仕事です」

他にもいくつか代表的な絞りを教えていただきました


美しいひだの連続で表現【縫い締め絞り】一定の間隔で波縫いをし、最後に引っ張って玉留めをします。単純な作業ですが、均一な美しいひだを作るための力加減や正確な縫い目の間隔を保つのは至難の技。

自由な描写ができる【折り縫い絞り】
折った布を縫って締める技法。自由な線が描けるので、例えばハートの形など、さまざまな描写をすることができます。

帯揚げでもお馴染み【太鼓絞り】太鼓のような道具を使って絞る技法。白く残したい部分はすべてビニールの中に入れ、染めたい部分だけを外に出して染めます。疋田絞りや帽子絞りなど、合わせ技で表現することも。帯揚げなどでよく見かけますね。

現在、職人さんゼロ! 幻になりつつある【ひと目絞り】
青海波の柄になった部分に施されているのが「ひと目絞り」。一寸(約3.78センチ)の間になんと12粒の本疋田絞りを入れるのだそうです。「実は今、この絞りをやっている職人さんは、私が知る限りではいなくなってしまいました」(寺田さん)。
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