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世界一のパティシエ、ピエール・エルメさんと巡る「柑橘天国」宮崎

2020.02.21

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ピエール・エルメ日本のフルーツ礼讃 第3回(最終回) 丁寧に手をかけることで、姿美しく、風味豊かに実る日本のフルーツは、わが国が誇る独特の食文化です。スイーツの巨匠ピエール・エルメさんが旅した冬の青森、新潟、宮崎。各地で出会った旬のフルーツとそこからインスパイアされた新たなスイーツとは──。前回の記事はこちら>>
宮崎の柑橘

日向灘を望む、見晴らし最高のみかん畑にて。さんさんとふりそそぐ日の光を浴びて育ったみかんを手に。

Pierre Hermé(ピエール・エルメ)
アルザスのパティシエの家系の4代目として生まれ、14歳のときガストン・ルノートルのもとで修業を始めた。常に創造性溢れる菓子作りに挑戦し続け、独自の“オート・パティスリー(高級菓子)”のノウハウの伝授にも意欲を燃やしている。2007年、レジオン・ドヌール勲章シュヴァリエを受章。2016年、《世界のベストレストラン 50アカデミー》より「世界の最優秀パティシエ賞」を授与された。


【宮崎の柑橘】
南国の冬は日本有数の柑橘天国


伸びやかに広がる日向灘に面する宮崎。日本の中でも、とりわけ南国の趣のある土地です。ふりそそぐ日差しの明るさ、太平洋を望む地ゆえのおおらかな雰囲気、そして数々の神話の里として知られています。

温暖な気候の宮崎ではさまざまな農作物が豊かに実りますが、特に柑橘類は古くから親しまれてきました。

はるみ

四季折々で多彩な柑橘を産する宮崎。写真は冬の柑橘。温州みかんのほか、柚子、“はるみ”、“不知火(しらぬい)”なども並ぶ。大きさも風味もさまざま。

近年は、宮崎特有の柑橘である“日向夏”や“へべす”の知名度が全国的にもアップ。多彩な柑橘を産する「柑橘天国」として、ますますその名を馳せています。

今回訪れた都農町(つのちょう)は、宮崎県の中部の海沿いに位置する、果樹栽培が盛んな町です。海と山が近い地形が特徴で、南東向きの斜面に果樹園が広がります。

この地でみかん農園を営む三輪篤志さんは、県の職員として柑橘の栽培技術の普及に務めてきた経歴も持っています。

エルメさんと三輪さん

都農町の農家、三輪篤志さんとエルメさん。三輪さんは理論に基づくみかん栽培を行う。

そんな三輪さんらしく、農園を訪れたエルメさんに、日照時間とみかんの酸味、甘みの関係を論理的に説明。

試食したみかんについて三輪さんが「まだ酸味が強く感じますが、その酸味成分を土台にしてこれから甘みが生まれます」と解説すれば、「これくらい酸っぱいほうが好みですね」と返すエルメさん。

都農町のみかんを通して、2人の会話が弾みます。

みかん

農園の一部では樹下にシートを張る。根が吸う水分を抑え、実の味を濃くする栽培方法。
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