我らが応援団長、松岡修造さん心のコラム 第11回「目指すは金メダル。卓球女子日本代表は強いです！」

佳純さんの覚醒が見たい！

2019年ITTFワールドツアーグランドファイナル女子シングルスでの石川佳純選手。写真／西村尚己／アフロスポーツ

石川佳純選手もまた、卓球選手だったお母さんの特訓でメキメキと力をつけ、早くから注目された選手です。卓球の才能でいうと、女子選手のなかで一番かもしれません。男子の合宿に参加して、男子選手の速い球で練習していたこともありました。


ただ、僕が知っているアスリートのなかでも、佳純さんは繊細なほうで、「勝てないんじゃないか」と弱気になってしまうところがあります。本来は、団体戦のように、チームで戦うほうが向いている選手なのかもしれません。

でも、東京2020の代表になるため、厳しいサバイバル戦を戦ってきたことが彼女の経験値を上げ、メンタルを強くしました。その結果、シングルスの代表内定を勝ち獲った佳純さんには、ぜひ、自分自身の殻を破って覚醒してほしい。

覚醒し、揺るがない自信を手に入れた佳純さんは、かつてないほど強い自分に出会えるはずです。佳純さんが代表内定後に口にした目標「シングルスはメダル獲得、団体戦は金メダル獲得」に向かって、強い心で突き進んでくれることを心から期待しています。

美宇さん、夢に見た舞台で飛躍を

2019年ITTFワールドツアーグランドファイナル女子シングルスでの平野美宇選手。写真／西村尚己／アフロスポーツ

平野美宇選手はリオオリンピックのときは補欠で、代表選手の練習相手や球拾いをし、試合は観客席から観戦。そのときの悔しさから、彼女は食生活から見直し、攻撃的なプレースタイルに転じました。それまでの美宇さんは、どちらかというと後ろでラリーをするスタイルでしたが、前で攻め続ける卓球に変わったのです。

そうして美宇さんは一気にトップ選手へと駆け上がっていきました。一時期はとてつもない勢いがあり、中国人選手がもっとも恐れる選手でしたが、どのスポーツもそうであるように、ずっと勝ち続けることは困難でした。ライバルたちに研究されたということもありますが、やはり高いモチベーションを保ち続けることも難しかったのだと思います。

美誠さんとともに「みうみま」と呼ばれた中学生の頃から、世界で戦ってきた美宇さん。今一番必要なのはピーキング、つまり東京2020大会に心身のピークを合わせるということではないかと思います。前回のリオオリンピックで感じた悔しさを糧に、東京オリンピックでは美宇さんの力を思う存分発揮してほしいです。



美宇さんが代表内定後に発表した「金メダルを目指し、石川選手・伊藤選手とともにチームに貢献できるように精一杯がんばる」というコメントを、僕は頼もしく思いました。夢に見たオリンピックをピークの状態で迎え、飛躍する姿をぜひ見たいです。

僕はときどき味の素ナショナルトレーニングセンターで卓球のジュニア選手たちの練習を見せてもらうのですが、彼女たちは非常に強い。小学生でもプロと同じようなプレーをしています。日本勢が金メダリストになれば、そういう次代を担う選手たちが「日本は金を獲れる」という確信を持てるようになる。そうすれば、日本の卓球界は一つ上のステージへいけるはずです！



コラムの締めは毎回、僕のメッセージを凝縮した一文字の書。”心”がすべての根っこにある！という思いをもとに書いています。第11回は「集中心」。美誠さん、佳純さん、美宇さんには、自分のやるべきことに集中して、悔いのない日々を過ごしてもらいたいです。