そして、後半にも見せ場がありました。4回転トウループ−オイラー−3回転フリップのコンビネーションの予定が2回転トウループのみになってしまったことから、残りのジャンプ構成を即座に変更。続く3回転アクセル−3回転トウループの連続ジャンプを4回転トウループ−3回転トウループに、3回転アクセル−2回転トウループを3回転アクセル−オイラー−3回転サルコウにしました。3回転の連続ジャンプを想定してプログラムされている流れから、4回転トウループを跳ぶためには助走を変えなければならず、つなぎで入れるはずだったイーグルを抜いた羽生選手。これを巡るコメントに、思わずクスリとさせられました。
今回、氷を確認する姿が何度か見られた羽生選手。今会場のリンクは大好きだったとのことでしたが、氷のコンディションによって跳ぶジャンプを選ぶレベルにまで、氷と対話できているようです。羽生選手はFS後の囲み会見で、「イーグルをちょっと抜いて、ブライアンのほうを見て“4回転トウループやっていい？”と合図してから行きました」と語りましたが、かたやブライアン・オーサーコーチいわく「許可を求めたわけではないと思います。行くからね！という合図でした(笑)。ユヅルは本当に賢い選手です。常に自分で考え、的確に修正の判断をしていますが、誰にでもできることではありません。本当に優秀な選手だからこそ、可能なことなのです」。お2人の信頼関係が垣間見えた、微笑ましいやりとりでした。
終始、穏やかな表情でFS後の囲み取材に対応してくれた羽生選手。
「怪我なく終えられて、これでやっとファイナルへ行けるな！と思うと嬉しいです。こうやって日本の会場で滑ることがどれだけ特別かということも感じています。ずっと待ち望んでいたので、全日本も含めて。ここで得ることができた皆さんのエネルギーをファイナルにぶつけられたらなと思っています」。ようやく緊張から解放され、時々笑みを浮かべながらリラックスして語る姿が印象的でした。
