エンターテインメント

阿部サダヲさん、異色ミュージカルに新たな役柄で出演

2019.11.28

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阿部サダヲさん

台詞という、人から与えられた言葉をしゃべるほうが楽


キレのある大胆な演技とは裏腹に、素顔はとてもシャイな阿部さん。高校時代まで野球に夢中で、演技経験どころか、自分で演劇を観に行ったこともなかったという。

「自分発信みたいなものが、本当になかったんです。うちは両親揃って末っ子で、親戚は伯父さんと伯母さんばっかり。僕も末っ子なので、こっちにおいでといわれたら行き、親戚の集まりで何かやれといわれてやらされる。全部いわれるとおりにしていたから、自分から発信することは何一つなかった」


そんな阿部さんが唯一自発的に始めたのが芝居。

仕事をやめて、ふと受けた劇団「大人計画」のオーディションに合格し、役者の道を歩みだしたときは、「それはもう親戚じゅうに驚かれました。まさか!?だって、あのコしゃべらないでしょ!?って」。

そこから天性の才能としかいいようのない存在感と演技力を発揮。今や押しも押されもせぬ人気俳優だ。

「たぶん、台詞という、人から与えられた言葉をしゃべっているのが、すごく楽だったんだと思います。稽古初日の顔合わせや打ち合わせのときのほうが、緊張しますもん。

NHK大河ドラマでは、リハーサルを私服でやるんですけど、ああいうのは本当に緊張するし、恥ずかしくてしょうがない。テンションが違うんですかね。舞台でお客さんの前に立っているときのほうが、ずっと楽です」

それにしても、演じているときのエネルギーは、どこから湧いてくるのだろう?

「演じる役のことを、好きになるのが1番ですね。その人になれる楽しさみたいなものが、役を演じるエネルギーになっていると思います。

特に松尾さんや宮藤(官九郎)さんが書くものは面白いから、こんな普段の自分より好きになれる感じがあるんですよ」

今回、松尾氏が阿部さんに新たに託したマジシャン役でも、きっと真価を発揮するに違いない。それによって作品自体も厚みを増し、より深化していきそうだ。

「今回のケガレ役はミュージカルで活躍している生田(絵梨花)さんで、少年ハリコナ役の神木さんは歌もバッチリ。

演奏もストリングスを増やすらしいので、より音楽面も充実すると思います。『いだてん』に出ている人たちも本当にたくさん出るんですよ。また違った一面を、どうぞお楽しみに!」

阿部サダヲ/Sadao Abe

阿部サダヲさん

1970年、千葉県出身。92年に大人計画の舞台『冬の皮』でデビュー。舞台、テレビドラマ、映画などで幅広く活躍し、現在放送中のNHK大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~』では第2部の主人公を務める。

Bunkamura30周年記念
シアターコクーン・オンレパートリー2019+大人計画
『キレイ—神様と待ち合わせした女—』


『キレイ―神様と待ち合わせした女― 』

Bunkamura シアターコクーン
2019年12月4日~29日
S席1万2000円ほか
Bunkamura:03(3477)3244
講演の詳細はこちら>>

作・演出/松尾スズキ
出演/生田絵梨花、神木隆之介、小池徹平、鈴木 杏、皆川猿時、橋本じゅん、阿部サダヲ、麻生久美子 ほか
2020年1月13日~19日に博多座(福岡)、1月25日~2月2日にフェスティバルホール(大阪)でも上演
表示価格はすべて税込みです。
取材・構成・文/岡﨑 香 撮影/合田昌弘 ヘア&メイク/中山知美 スタイリング/チヨ〈コラソン〉

『家庭画報』2019年12月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。
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