「わからない」ですませるのは、人としてダメなのでは……
最後に茜が出した結論を、「本来であったら時間を共にしているはずの息子がいて、それを島の中で見守っていたわけなのですが、茜の中ではある意味赤ちゃんのときから時間が止まっていたと思うんです。でも、物語の最後に初めて、茜は母親としての一歩を歩き始めたのかな、と。人間として少しだけ強くなったんじゃないかなと思いました」。ただ、自身にとって納得の結末なのかどうかはわからないといいます。それは、「これから私が結婚し、母親になって、いろいろなことを積み重ねていく中で、一つ答えが見つかるような気がします」。
今作のオファーがあったとき、悩んだという貫地谷さん。「外から見ている人のほうがいろいろな判断をしてしまってはいけないとは思うのですが、自分がフラットな気持ちで役として立てるのかどうか」という思いがあってのこと。それでも、「恵まれた環境で両親に愛されて育ち、また、母親でもない私には想像しても到底わからない。でも、“わからない”ですませてしまうことは、人としてダメなんじゃないか、茜のような女性たちの声が弾かれてしまうことは避けたいと思って。やらせていただけるならやってみよう」という結論に至りました。
豊和役の松原豊和くんは、お芝居初挑戦。日々成長する彼を見て、「人が大変なことを乗り越える姿から勉強させてもらいました」。
