エンターテインメント

『閉鎖病棟―それぞれの朝―』を11年越しで完成させた平山秀幸監督

2019.10.31

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3人が初めて揃ったのは処置室のシーンで、平山監督いわく「鶴瓶さんは泣きそうになったって言ってましたね。涙もろいですから」。

——秀丸とチュウさん、由紀の話ではあるんですが、それぞれの家族の物語もありますよね。


「秀丸の家族は問題外ですけれども、チュウさんのところは、例えば家族の一員にそういう(幻聴の)症状が出たときに、残された人たちがとった行動が全部悪いかっていったら……。いろいろな事情もあるだろうなって思うし、由紀のお母さんは子供に対して、あるまじき行動を取ってしまうんだけれども、女性の性としてはどうなんだろうみたいなことは考えますよね。閉鎖病棟に閉じ込められた人たちという言い方があるとすれば、(家族は)閉じ込めた人たちで、一見すると被害者と加害者みたいな感じがするじゃないですか。でも、それだけではないだろうっていう気はどこかにありました」

——では最後に、これから映画を観る方にメッセージをお願いします。


「難しいですね。観て笑ってくださいっていうわけにはいかないですから。この映画で、こうしたら精神疾患がよくなるとか世の中よくなるとかっていうつもりはまったくなくて。登場人物それぞれが少しでも前向きに生きようとする、そういう話を書いた、撮ったつもりです。映画館を出るときに、陰惨な感じっていうのはあんまり好きじゃないので。笑って観られる作品ではないですけれども、観終わったときに、きつい話ばっかりじゃなくてちょっとホッとしましたよっていうふうな意見があるとすれば、よかったなと僕は思います」

平山秀幸/Hideyuki Hirayama

映画監督
1950年9月18日生まれ、福岡県出身。90年に『マリアの胃袋』で監督デビューし、92年には『ザ・中学教師』で日本映画監督協会新人賞を受賞。98年、『愛を乞うひと』でモントリオール世界映画祭国際批評家連盟賞、日本アカデミー賞最優秀監督賞をはじめ国内外で数々の賞を獲得した。近年の主な監督作に、『太平洋の奇跡—フォックスと呼ばれた男—』、『エヴェレスト 神々の山嶺』などがある。



『閉鎖病棟―それぞれの朝―』


原作:帚木蓬生『閉鎖病棟』(新潮文庫刊)
監督・脚本:平山秀幸
出演:笑福亭鶴瓶 綾野 剛 小松菜奈
坂東龍汰 平岩 紙 綾田俊樹 森下能幸 水澤紳吾 駒木根隆介 大窪人衛 北村早樹子
大方斐紗子 村木 仁/片岡礼子 山中 崇 根岸季衣 ベンガル
高橋和也 木野 花 渋川清彦 小林聡美

配給:東映

11月1日(金)よりロードショー

公式サイト http://www.heisabyoto.com

Ⓒ2019「閉鎖病棟」製作委員会
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