登った者だけが体感できるスイス“山岳ホテル”の世界

スイスでいちばん空に近いホテル
―3100 クルムホテル ゴルナーグラート―

標高4478メートルのマッターホルンとまるで同じ高さにいるような、客室からの眺め。眼下に見えるゴルナーグラート駅からホテルのアクセスには、エレベーターも利用できる。


ツェルマット駅からゴルナーグラート鉄道に乗ると、マッターホルンを間近にとらえるゴルナーグラート駅に到着します。２つの駅の標高差は約1500メートル。それを約35分で結ぶ鉄道は1898年に開通しました。

そして駅のすぐそばにそびえるのが「3100 クルムホテル ゴルナーグラート」。文字通り標
高3100メートルに位置するスイス最高地点のホテルで、その歴史は1894年に遡ります。



2005年の大改装でベッド数を減らし、大幅な質の向上を実現。合計22の客室からはマッターホルンかモンテローザが見え、全室にシャワーとトイレが完備されている。写真の部屋は、天文台を載く丸い塔の部分に位置するジュニアスイート。



ホテルのメインダイニングでいただけるのは、4品のコースディナー。メインディッシュはもちろん、山でいただく温かいスープと新鮮なサラダビュッフェの嬉しさはひとしお。

アルプスの谷深くに位置するツェルマットは元来、農業と放牧のみの小さな村でした。しかしアルピニズムの始まりとともに、村人たちはそれぞれの力を出し合う形で鉄道を敷き、そしてホテルを築いていきました。

大資本に頼らず、自然環境へ最大限の配慮を払いつつ快適なリゾートを創る理念は現在まで脈々と受け継がれています。

4000メートル級の山々29座に囲まれて星を仰ぎ、朝を迎えられるこのホテル。ここに泊まることが旅の目的になる特別な場所です。



幸運にもテラスでアルプホルンの演奏に遭遇。澄んだ空に響き渡る音色は旅情満点。



最終電車が山を降り、静けさを取り戻した頃、野生のアルプスアイベックスがホテルの近くまでやってきた。