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「インテリアスタイリスト」はどんなお仕事? 第一線で活躍する横瀬多美保さんに伺いました

2019.10.01

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1LDKの住まいを1年間にわたり追った連載が待望の1冊に!

この秋、家庭画報.comの人気インテリア連載をまとめた初の著書『テーブルコーディネートから始まる 美しい暮らしのインテリア365日』を上梓されたインテリアスタイリストの横瀬多美保さん。 さりげなくノーブル、心ときめく要素もきいた独特のコーディネートは『家庭画報』本誌でもすっかりおなじみですが、その発想の源はどこにあるのでしょう? そしてそのルーツは? 初回は横瀬さんの素顔に迫ります。

「テーブルコーディネートはテーブル“カラー”コーディネート」


「子どもの頃から、とにかく食器に夢中だったんです。茶道、華道、書道を嗜んでいた祖母は和食器と骨董好きで、母は洋食器好きと、身の回りにはいつもきれいな食器がありました」。

初めて自分で買った器は、「ロイヤル コペンハーゲン」のティーポット。手描きの絵付けのやさしいライン、ゆったりとしたシルエットのそのポットは、今も日々の暮らしに癒しを与えてくれる、欠かせない宝物です。



22歳のときに初めて買ったロイヤル コペンハーゲンのポット。当時はブランドショップもなく、銀座のティールームから譲ってもらった貴重品。

きっかけは1冊の本から……


食器への想いを温めていた20代半ばのある日、書店で見つけた1冊の本が横瀬さんの人生を大きく変えることになります。

それはクニエダヤスエさんの『テーブルコーディネーション 食卓を楽しむ』。1970年代の終わりから、テーブルコーディネーターとして活動していたクニエダさんは、この世界のパイオニア。テーブルコーディネートという概念を広く知らしめた立役者でもあります。

「あぁこんな素敵なお仕事があるんだ! と衝撃を受けました。手を尽くしてクニエダ先生にご連絡をしてみたら、『ではまずセミナーにいらっしゃい』 と。

1年間そのセミナーに通ったものの、ここで終わるのではもったいないし、もっと学びたい……。何とか先生のアシスタントに採用していただくことができました」。



今も時折手に取る、1981年刊行の『テーブル コーディネーション~食卓を楽しむ』(文化出版刊)。今だからわかる、新たな気づきも多いとか。

アシスタント時代を振り返って


テーブルコーディネーターの第一人者・クニエダ先生のもとでの2年間は、厳しく多忙な日々。

「テーブルコーディネートは、テーブルカラーコーディネートである、ということを徹底的に叩き込まれました。

スタートは白い食器。それに合わせるクロスやリネンで変化をつけることでテーブルの世界が広がる、これが先生の基本の考え方でした。

今も、コーディネートに悩んだり、行き詰まったりすると、白い器を手に取ってしまいますね。基本に戻り、初心に帰れるのが、白い器なのかもしれません」

食卓から空間へ。広がるコーディネートの世界


独立後は、自ら営業をしながら、女性誌・婦人誌のコーディネートページで徐々に活動を始めた横瀬さん。

『家庭画報』本誌にその名が登場したのは、今から30年ほど前のこと。最初の頃に担当した「ペルシャ絨毯」のテーマは、今でも忘れられないとおっしゃいます。

「今までずっと食卓の上、食卓の周辺のコーディネートだったのに、いきなり絨毯ってどうしよう?? でも、どんなに空間が大きくなっても『コーディネートはカラーコーディネート』、『同系色で揃えるのが基本、単調にならないように差し色を』。

それはインテリアでも同じだと気がついたら、一気に世界が開けて(笑)。クニエダ先生に、本当に感謝ですね」


当時小学1年生だったご子息が、横瀬さんに「素敵でしょ!」と贈ってくれた箸置きは、大切な宝物。家族の記憶に繋がる食器もコーディネートに加えたい。

以降、仕事の幅は大きく広がり、百貨店のインテリアコーディネートや店内ディスプレイなども手がけるように。

「テーブルの上という小さいスペースからコーディネートを始めて、次に座ったときに見えるカーテンはどうする? 壁の色は? とどんどん空間を拡大して考えていきます。食器やカトラリー、お花や料理という雑多な要素の多いテーブルのコーディネートができたら、大きい空間だって大丈夫だと思うんです」


「クロスおたくなんですよ」と笑う横瀬さん。テーブルや空間で大きな面積を占めるリネン類は、その場の雰囲気を演出する必須アイテム。

カラフルな野菜をあしらったロイヤル コペンハーゲンの「ホワイトエレメンツ」のエスプレッソカップに、ポットのコンソメを注いで。新旧のロイヤル コペンハーゲンの競演で始まるディナー。

達成感こそが仕事の原動力


「30代から40代にかけてはフランスやヨーロッパを旅することが多く、そのすべてに感動して、そのすべてがコーディネートのヒントになりました」。

景色、人々の感性、食文化……、とりわけ感銘を受けたのは、フランスの色彩感覚。この頃に学んだヨーロッパテイストのコーディネートは今も大きな財産です。

「心のどこかでアジアのDNAがうずいていたのか(笑)、50代になってからは、ヨーロッパのエスプリに洗練されたアジアンテイストを加えるコーディネートに落ち着いてきました」

最近のお気に入りは、2019年に新しくお目見えしたロイヤル コペンハーゲンの「ハウ」シリーズのポットに、カップ&ソーサー。

「ロイヤル コペンハーゲンのクラシックなモチーフがさりげなくちりばめられたデザインが老舗らしくて素敵。フォルムもモダンで美しい。この進化した器を見たときに、40年前に買った王道のロイヤル コペンハーゲンの器と合わせてみたい!って閃いたんです」。

クラシックなプレートとモダンなソーサーの間には、ノンブランドのフランスの白い磁器をはさみ、程よい軽さもプラス。合わせるクロスにはアジアンテイストの青をチョイスしました。


存在感のあるポットを、テーブルのポイントに。ブルーのクロスにディンゴファンのグリーンが揺らぐ、深海のイメージのセッティング。

「ちょっと重たいかなと思って、しばらく食器棚で眠っていたクラシックな器も、この組み合わせで新しい表情を見せてくれました。

こんなふうに、コーディネートをあれこれ考えて、悩んで、決めるときの楽しさ。そして実際に組み合わせて、でき上がったときの喜び。

その気持ちが、何よりの私の原動力。この達成感がある限り、コーディネートのお仕事はやめられそうにありません」

 




『テーブルコーディネートから始まる 美しい暮らしのインテリア365日』

大好評発売中!!


『家庭画報』をはじめとする女性誌で活躍する、インテリアスタイリストの横瀬多美保さん。1年間にわたり、ご自身の1LDKでの暮らしを綴った『家庭画報.com』の人気連載が、ついに一冊の本になりました。コーディネートの組み立て方、“自分らしい”空間の作り方も初公開。今すぐに活用できる暮らしのtipsが満載です。





横瀬多美保/Tamiho Yokose

インテリアスタイリスト


東京都生まれ。合同会社デコールLLC代表。聖心女子大学教育学科卒業。日本におけるテーブルコーディネーターの第一人者である故クニエダヤスエ氏に師事。テーブルコーディネーター、インテリアスタイリストとして『家庭画報』をはじめとする女性誌や料理本で活躍。百貨店やショールームのディスプレイ、商品開発などにも携わっている。卓上に留まらずインテリア空間も含めたコーディネートを得意とし、新旧、和洋を自在に織り交ぜた、洗練されたエレガントな世界観にファンが多い。流行や時代の変化をしなやかに受け止めながら、幸福感漂う美しい暮らしを提案し続けている。

 
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