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菊乃井・村田吉弘【日本のこころ、和食のこころ】五月 新茶

2017.05.01

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夏も近づく八十八夜──。 立春から数えて八十八日目(五月初め頃)は、茶摘みの最盛期にあたります。この日摘まれたお茶は極上とされ、また、末広がりの八の数字が、縁起がいいとされ、この日お茶を飲むと長生きするともいわれました。村田さんも日に何度も飲まれる日本茶のお話です。

それこそ、赤ちゃんの頃から飲んできたお茶。
最近はペットボトルが増えて、ちょっと寂しいなぁ。


お茶はいわずと知れた、中国が原産。漢の時代の医学書『神農本草経(しんのうほんぞうきょう)』に記述が見られるので、この頃にはよく知られるようになっていたと思われます。日本に伝わったのは奈良・平安時代で遣唐使や留学僧によってもたらされたとか。

鎌倉時代になると臨済宗の開祖栄西が宋に渡って禅宗を学び、そこで喫茶が盛んにおこなわれているのを知り、『喫茶養生記』を著しました。これは薬としてのお茶の効能を説いたもので、日本初のお茶の専門書です。


最初は僧や貴族、後には武士といった支配階級のものだったお茶。やがて茶の湯が生まれ、江戸の頃になると庶民の間にもお茶を喫する習慣ができていたようです。この長い歴史を見ても、日本人にとっていかにお茶が欠かせないものなのかがわかりますよね。

僕なんか、生まれたときから、水代わりにお茶を飲んできました。京番茶といって最近はよその地方にも知られるようになった、あのクセのあるお茶です。それを赤ちゃんのときから飲んできたわけで、京都の人は皆そうやったと思います。京都人の血は京番茶でできてるんとちゃうの?と思うくらいです。

京番茶とは京都府南部で生産されていて、刈り込んだ枝を含んだ茶葉を蒸してじか火で炒ったお茶です。やかんで麦茶のように炊きだして淹れるもので、独特の燻したような焦げた香りがします。冬はあつあつを、夏の暑いときは冷やして……。京都人はこれをがぶがぶ水のように飲むんです。

関西やったら宇治、関東やったら静岡、九州は知覧と、日本各地にお茶処があります。けど知ってはりますか? 静岡と宇治を合わせた生産量より、台湾のほうが多いんです。日本には煎茶道もあるし、抹茶の文化もある。お茶に哲学や精神性、花鳥風月といった美意識をもたらした自負があるけど、多くの人はペットボトルのお茶を買うて飲んでるんです。ちょっと寂しくないですか。

最近は海外での和食ブームもあってかお茶も人気のようです。和食には日本茶。切っても切れない関係がある。そやから、おいしい和食にはやっぱりおいしい日本茶を飲んでいただきたいと思うわけです。給食にも日本茶を出すと、子どもの頃から親しむことになっていいと思うけどな。
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