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菊乃井・村田吉弘【日本のこころ、和食のこころ】六月 青梅

2017.06.01

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梅の雨と書いて梅雨。 梅の実がなる頃に降る雨という意味で、六月になると梅の実は急に大きくなります。季節感を大切にする和食にとって青梅は鮮烈に季節を感じさせ夏の到来を告げてくれるのです。

春海好みのアンティークバカラの鉢にクラッシュした氷とともに青梅の白ワイン煮を盛って、花穂じそをあしらう。露を打てば、たちまち夏の風情。取り鉢もアンティークのバカラで揃えて。

 

お祝いにも梅、風邪をひいても梅。日本人はほんまに梅が好きやと思います。


青梅に 手をかけて寝る 蛙哉(小林一茶)


ちょうど梅雨の頃に青く実を結ぶ梅。古来多くの歌や句に詠まれてきました。料理人にとって青梅はまさに夏の先駆け。青梅の美しい緑色、ふっくらとした姿を見ると「ああ食べたいな」と誰しもが思うんと違うかな。季節感の象徴として献立に組み込みます。

昔は花といえば「梅」のことを指しました。今は桜ですけどね。ですから、梅の花の咲く頃は、まずは春告げの材料として使います。一月になったら、ちょっと早いけどもう梅を趣向に取り入れますし、梅肉は茶懐石の箸洗い、鱧にも欠かせない。夏場は特によう使います。

日本人にとって、梅は大切な素材です。子どもの頃風邪をひいたり、食あたりをすると梅干しを焼いて番茶をさし、飲んだものです。一日一個、食べさせられましたしね。そうそう、僕の小さい頃やから、昭和三十年代かな。紙芝居のおっちゃんから、海老せんべいに練り梅を塗ったものを買うて紙芝居を見たりもしましたね。

お祝いにも欠かせなくて京都では元日に大福茶といって、お白湯に梅干しと結び昆布を入れていただきますし、結納のときも献立の最初にこの大福茶を入れます。仲居さんが「お祝いやす」といってお出しするのです。梅の実は英語では「プラム」。でも、彼らがいうプラムとはちょっと違うと思うのです。梅は日本人にとってなじみ深くて愛着のあるものなんですよね。日本人は体調をくずすと梅干し。彼らはチキンスープ。お国柄でしょうか。
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