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菊乃井・村田吉弘【日本のこころ、和食のこころ】七月 千日詣

2017.07.01

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前もいいましたが、食べるものはみな、神様からのいただきもの、という考えが日本人にはあります。収穫物はまず水で洗い清めます。素材は神様からいただいた完璧なもの。完璧なものを保護している皮をまずむきます。余談ですが、だから日本人は食べられる皮でもむいてしまうんですね。皮をむいたままでは、辛かったり、苦かったりあくがあったりします。これはまだ本来の味ではないわけです。これを火を使って煮たり、焼いたり、あぶったり……。そのもの本来の持ち味を生かすために調理というものがあるのです。

僕は人類を最後に救う材料は米と大豆だと思っています。米は連作が可能なので、小麦に比べて養える人数が四割方多いという利点があります。大豆はもともと酵素阻害物質を持っています。ですから生のまま食べるとおなかを痛くしてしまうんです。大豆は火を通すことによって食べられるものに変わるもの。だから火を扱える人間だけが食べることができるというわけなんです。


備長炭で旬真っ盛りの鮎を塩焼きに。 炭火のよさは遠赤外線、近赤外線の二つの効果。表面を固めてうまみを閉じ込め、なおかつ内部まですばやく火を通すことができる。焼けるときのじゅうじゅうという音、香ばしい燻香もご馳走のうち。


 

調理法のなかでも「じか火であぶる」というのは日本人にとって特別な感情があるように思います。私たちにはこの季節にはこれを食べんと治まらん、というものがあります。春やったらたけのこ、夏は鮎、秋は松茸です。日本は国土の七五パーセントほどが山でそこに大きいのから小さな川までたくさんの川が流れています。

ですから、その山の恵み、川の恵みは昔から季節とともに日本人が慈しんできたものです。ことに鮎は香魚とも呼ばれ、そのおなかの苔の香りが味を左右するところがあります。ですから塩一つとっても、同じ土地の塩が合うわけで外国の塩で焼いた鮎はなんやピンときません。「菊乃井」の鮎の塩焼きは三口でいただける、というのが理想です。
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