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加納 土監督が『沈没家族 劇場版』で描く、「家族ってなんだろう?」

2019.08.30

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単なる記憶だった沈没家族を肯定的にとらえられた理由は……


今年4月に公開された『沈没家族 劇場版』。東京・ポレポレ東中野では、8月にアンコール上映が行われるなど、大きな反響を呼びました。多くの感想が加納監督のもとにも寄せられましたが、「映画としていうと、すべてを肯定している僕がよかったと言ってもらえますね」。『沈没家族』を撮り始める前は、沈没家族で過ごしたことに対して肯定的でも否定的でもなく、単に「昔、そういうところにいたな」という記憶でしかなかったという加納監督ですが……。

「会っていった一人ひとりがすごく魅力的で。映画を撮る前は、保育人っていうくくりの人が入れ替わり立ち替わりやってきて、保育の新しい形を提示していくんだっていう、何かゴールがあるところに向かってやっているというふうに思っていたんですね。でも、一人ひとりと会ってみると、動機もバックボーンも全然違うし、そもそもゴールを目指してない。子供がいる人にとってはワンオペ育児のつらさから逃れることだったり、保育に参加していた人たちにとってはつらい人生の中で子供との触れ合いが救いだったり、生き延びるためにあの場所があったんだなっていうことに気づいたときに、それがすごくうれしくなって。義務とか責任とか、そういうもので来ていたわけじゃないんだなと気づいたのは、沈没家族を肯定的にとらえる大きい理由になったかもしれません」




父・山村克嘉さんと母・穂子さん(写真左)、加納監督が共に暮らした鎌倉を訪ねる場面も。穂子さんは現在、八丈島で生活している。
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