フィギュアスケート

氷上音楽劇「氷艶hyoen 2019ー月光かりの如くー」。光源氏・髙橋大輔降臨!

2019.08.05

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今作のオリジナルキャラクターである、男装の海賊・松浦を演じたのは宝塚歌劇団の元トップスター、柚希礼音さん。弘徽殿女御の忠実な僕である長道(波岡一喜さん扮)率いる敵の一味に追われて溺れ、意識朦朧となった光源氏を助けて、共に暮らすうちに光源氏に惹かれてしまう切ない女心を好演。狭い船の上での立ち回りシーンでは、美しく無駄のない柚希さんの動きに目が釘付け。さすがの身のこなしでした。歌唱担当としても、柚希さんと平原綾香さんが美声を披露して締めてくれていたので、髙橋選手も安心して歌えたのではないでしょうか。

台詞もあり、歌もある氷上舞台。演技に奮闘するスケーター陣、氷上で滑り、歌う俳優陣の熱演に感無量


月の光でほのかに照らされた都の場面から始まる第一幕プロローグ。


髙橋選手演じる光源氏が誕生するさまを見守る、弘徽殿女御(こきでんのにょうご)として登場したのは荒川静香さん。息子である朱雀君を愛するがあまり、その異母弟である光源氏を亡き者にしようと徐々に悪事に手を染めていく敵役なわけですが、疾走するスケーティングで荒ぶる心を、衣装の揺らぎで苛立ちを見せる表現力は、銀盤でのパフォーマンス経験豊富な荒川さんならでは。前作に続き、今作でもしっかり重石となる存在感を発揮していました。

そして第一幕第三場で見目麗しい青年に成長した光源氏・髙橋選手が登場。頭中将役の福士誠治さんとともに、会場から割れんばかりの拍手で迎えられました。

心を揺さぶられたことがいくつもあった今舞台ですが、そのひとつが俳優の方々の力演です。

アイスホッケーの選手を演じたドラマの経験から、スケーター枠での採用(笑)に近い扱いとなった波岡一喜さん(弘徽殿女御への愛ゆえに悪行を重ねる長道役)の滑りの安定感はもちろんですが、光源氏の母君である桐壺更衣(きりつぼのこうい)と藤壺宮(ふじつぼのみや)の二役を演じた平原綾香さん、光源氏の忠実な親友である頭中将(とうのちゅうじょう)役の福士誠治さん、松浦役の柚希さんなどは、スケーティングの練習開始時にヘルメットを被っていたとは思えないほど、見事な氷上での演技を披露してくれました。

普段、スケートとは無縁の生活を送る俳優の皆さんが、スケート靴を履いて、滑って、語り、歌う……。生半可な努力ではここまでのレベルに達しなかったはず。もともと身体能力が優れているのだとは思いますが、開演までに積み重ねてきた陰の努力が垣間見えて、思わず拍手に力が入りました。

それにしても、柚希さんの放つオーラはさすがでしたね。立っているだけでその場を支配する華ある存在感。伝説のトップスターの魅力を遺憾なく発揮していました。
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