原点回帰＆新たなフェーズへ！ 舞台『お気に召すまま』に満島真之介さんが出演

ナレーションやアニメの声優、吹き替えなど声の仕事でも活躍している。

――今年2月～3月に出演された舞台『CHIMERICA チャイメリカ』では、抑制の利いた陰影ある演技が印象的でした。あれも非常に秀逸な作品でしたね。


「自分にとって、大きな扉を開いてくれた作品だったなと感じています。3年ぶりの舞台ということもあって、今までとは違う表現方法に挑戦したいと思っていたときに話をいただいたんですが、びっくりしたのは、作品の題材になっている天安門事件が起きた1989年の、まさに北京が厳戒態勢に入った日に、僕が産まれているんです。偶然のような必然性に人生の大きな流れを感じて、抗ってはいけないと覚悟しました。僕がやらずに誰がやるんだ？と。天と地がすっと繋がる瞬間を毎公演感じて、全公演終えたとき、舞台に立つ者として、やっと筋が一本通った気がします。それが20代最後の作品です」

――そして、今回の『お気に召すまま』が30歳になって1作目の舞台になるわけですね。

「そうなんです。熊林さんから “オリバー役をやってほしい。しんちゃんにやってもらうからこそ、浮かんできた発想があるんだ”と言われました。その言葉を聞いたとき、自分が今まで抱えてきたものや、デビューからの9年間の日々に、向き合うことになるだろうなと思ったんです。もう一度生まれ変わっていくために、これもまた必然的なタイミング。今まさにやるべきものだなと感じました」

――それはどんなオリバーなのでしょう？

「実は僕、小さい頃から片足が悪くて、それに気づかれたくないばっかりに、常に明るく元気でいるしかなかったところがあるんですね。熊林さんはそんな僕がオリバーをやることで、オーランドとの対比を善悪ではなく、強靭な肉体と精神を持った弟と、劣等感を抱えた兄で表現したいと。オリバーという役自体、自分自身を認め、ありのままの生き方に目覚めることがこんなにも美しいのかと気づいていく役。まさに自分自身を象徴するかのような役との出会いでした。しかもそこには、僕を芝居の世界に生み落としてくれた熊林さんと、その舞台で恋人役だった朋子さんと、陰で支えてくれた姉のひかりがいる。この作品から、また新たに巣立つんだなという気がしています」

――まさに、やるべくしてやる作品だったんですね。第2期に突入した俳優・満島真之介さんが観られる『お気に召すまま』、ますます楽しみです。

「僕も楽しみです。その日その日の“お気に召すまま”でいいんじゃない？と思えるほど朗らかな気持ちでいられることに、自分でもびっくりしています。今まで出会ってきた方々、そして、過去と今と未来を繋げてくれる作品のことをとことん愛することができれば、きっと大丈夫。ちなみに、“え？ この役も僕がやるの!?” というようなことも起きていて、熊林さんは“まさか、しんちゃんに頼る日が来るとは”と言ってます(笑)。作品自体も今までにない形になっていくと思いますよ。お楽しみに！」