きものダイアリー

柔らかくて、涼しく、美しい。幻の近江上布はこうして織り上がる

2019.07.30

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涼を呼ぶ夏きもので琵琶湖へ 第2回(全3回)「湖国」と呼ばれる滋賀県は、満々と水をたたえる琵琶湖を中央に擁し、周囲を山々に囲まれた自然豊かな風土が特徴です。清冽な湧水を利用し、古より織物が盛んだったこの地では、希少な近江上布が今も作られています。歴史と風情があり、避暑地でもある琵琶湖周辺を、女優・常盤貴子さんが訪ねました。前回の記事はこちら>>

幻の近江上布が織り上がるまで


緯絣の近江上布

「羽根巻き捺染」で染めた、緯絣の近江上布。経糸、緯糸ともに苧麻の糸で織り上げられたもの。藍色で細かい文様を織り出し、上布らしい清爽さを表現しています。南国を思わせる芭蕉の葉を大胆に染めた帯で、きりりとした装いに。きもの25万円/近江上布伝統産業会館 帯23万円/麻布 なか志まや 帯揚げ/和小物さくら 帯締め/道明 リング79万円/アントニー二(コロネット)

滋賀県は中央に琵琶湖を擁し、その周囲には山々に囲まれた近江盆地が広がります。山に降った雨が地下に浸透し、湧水となり湖に注ぎ、土地を潤してきました。この豊かな環境が、湖東地方の麻織物を支えてきたのです。


室町時代から麻織物の産地として知られ、東海道、中山道、そして北陸道が合流する交通の要衝だったこともあり、近江の麻は早くから流通します。

中山道高宮宿は、上質な麻「高宮布」の集散地として彦根藩に保護され、高宮布は将軍家への献上品でもありました。明治期に生産拠点が現在の愛荘町や東近江市に移り、今に至ります。

滋賀県愛荘町の近江上布伝統産業会館では、歴史ある近江上布を途絶えさせたくないと、糸作りからできる織り手を養成し、現代につなげています。ここでは希少な麻織物を織る様子を見学することもできます。

麻織物を織る様子

近江上布伝統産業会館では、この地方で長年使われてきた地機を使っています。筬(おさ)が固定されておらず、経糸を織り手の腰に回した腰当てとつなげ、経糸の張力を調節しながら織るという、ごく初期の構造です。繊維を無理に引っ張らないので、風合いのある織物ができ上がります。

近江上布には、大麻と苧麻の二種類の麻糸が使われてきました。また、「生平(きびら)」と「絣」があります。

「生平」の帯2点

「生平」の帯2点。右の名古屋帯は経糸を手績みの苧麻(ちょま)の糸、緯糸を手績みの大麻の糸で織ったもの。左の半幅帯は経糸を苧麻、緯糸を100年前の大麻を手績みした糸で織っています。

生平は染色を施さず、麻素材そのものの色を生かしたもの。現在では生産の主流は帯です。

絣は経糸に細かく独特な技法で染めた絣糸を使って織られるものです。ほかに糸染めした無地感覚や縞のきものがありますが、いずれにしても素材からこだわった手のかかる麻織物は、「幻の上布」と呼ばれ、その希少価値は年々高まるばかりです。
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